世界株式は2021年の業績を「大幅増益」と見込んでいる

 内外株式が堅調に推移している要因として、世界経済の先行き回復期待が挙げられます。民間エコノミストによる最新予想を集計平均すると、2021年の世界の実質成長率は+5.4%と2020年の落ち込み(▲3.8%)からプラス転換する見通しです。

 世界経済をリードする米国は+4.8%、中国は+8.4%と成長率の浮上が予測されています。こうした経済の正常化期待を受け、企業業績もIT分野、製造業、市況産業を中心に増益転換が見込まれています。

 図表2は、機関投資家に注目されているMSCI指数をベースに主要株式市場を「1年前比騰落率」の降順(高い順番)に並べ、予想PER(株価収益率)や予想増減益率(予想EPS[1株当たり利益]の前年比伸び)を示した一覧です。

 2020年は各市場とも減益を余儀なくされましたが、2021年は米国、中国、インドで前年比3割以上の大幅増益が予想され、日本も約28%の増益に転じる見込み。続く2022年も二桁超えの伸びで増益が続くと予想されています(市場予想平均)。株式市場は、事業環境と業績の改善傾向を先取りする動きを示しています。

<図表2:市場は世界株式の業績相場入りを視界に>

*予想PERや予想増減益率はMSCI指数ベースの市場予想平均
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年2月17日)

 昨春以降の世界株高は、大規模な金融緩和策と財政出動をエンジンとする流動性(金融相場)が「主翼」となりましたが、ワクチンの実用化・接種開始を受け、経済正常化や企業業績回復シナリオも視野に入れた「両翼」が支えとなっています。

 目先の感染拡大に伴う景気の一時的鈍化は織り込み済みと思われ、短期的な株価調整も想定の範囲内にとどまる可能性があります。金利低下と潤沢な流動性で昨年押し上げられた予想PERの拡大は一巡し、予想EPSの回復が株高の主要因となる「業績相場」が始まっている可能性があります。

 内外市場で発表された2020年10-12月期の決算発表では、IT関連や製造業企業で市場予想を上回った企業が多く、良好なガイダンス(業績見通し)を公表する企業が多かったことも特徴でした。

 業績見通しの上振れを契機に、市場は「アフターコロナの業績回復」を視野に入れる新たなステージに移りつつあるようです。