米国市場の長期金利上昇は株価反落の契機なのか

 ただ、流動性相場から業績相場への過渡期で「長期金利上昇」を警戒する慎重派が増えている点は要注意です。

 米国市場の10年国債利回りは1.31%(16日)と2020年2月以来の水準に上昇。債券市場で試算される「期待インフレ率」は2.2%超と2014年以降で最も高い水準に戻りました。

 図表3で示す通り、米国債市場のイールドカーブ(利回り曲線)にはスティープ化(長短金利差拡大)がみられます。

 長期金利上昇には、景気回復や資金需要の増加観測、インフレ見通し、金融政策の変化予想などが含まれています。商品市況で原油相場などに堅調傾向がみられるものの、米国のコアインフレ率(食品とエネルギーを除く消費者物価指数の前年同月比)は+1.4%にとどまっています。

 イールドカーブのスティープ化は、2020年夏にみられた緩やかな勾配に続く現象とも考えられます。

 米国市場は、パウエル議長率いるFRBが実体経済の回復やインフレ見通しを勘案して金融政策のスタンス(姿勢)を変化させるか否かを注視する動きとなりそうです。

<図表3:米国株式は長期金利の上昇に耐えられるのか>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年2月17日)