長期的には、ほとんどのコモディティ銘柄が、記録的な上昇を演じている

 以下は、銅と原油の、1987年1月以降の価格推移です。

図:LME銅(左)とNY原油(右)の価格推移 (月足 終値)

※2021年2月は19日時点。
出所:ブルームバーグより筆者作成

 先述のとおり、先週、原油は下落しましたが、上記のとおり、先週末の水準は14カ前(1年2カ月前)の水準にあります。

 そして、原油、銅ともに、長期的には、新型コロナが“パンデミック(世界的な大流行)化”したと宣言されたことをきっかけに発生した、ジャンルを問わず多数の銘柄が下落した“新型コロナショック”後の2020年4月ごろから、急反発しています。

 では、他のコモディティ(商品)銘柄の足元の水準は、どのような状況なのでしょうか。以下のグラフは、2月19日が、過去何カ月前の水準かを示しています。足元の水準が、少なくとも、12カ月(1年以上)前よりも高い、銘柄のみを参照しています。

 参照したのは、貴金属(金、銀、プラチナなど)、エネルギー(原油、天然ガス)、穀物(トウモロコシ、大豆、小麦など)、穀物以外の農産物(コーヒー、砂糖、生牛、赤身豚肉など)の、合計44銘柄です。

図:コモディティ(商品)銘柄の足元の価格水準 単位:月

※2021年2月19日(金)の価格水準
例:原油14は、2月19日の原油価格の水準が14カ月(1年2カ月)前の水準にあることを示している。
出所ブルームバーグより筆者作成

 原油が14カ月(1年2カ月)ぶりの高値水準にあり、大きく上昇している印象を受けた方もおられるかもしれませんが、人気・不人気、売買高の大小を問わず、コモディティ(商品)銘柄の中には、原油よりも、足元の水準がはるかに記録的な水準にある銘柄が、多数あります。

 参照した44銘柄中、原油を上回ったのは、32銘柄でした。残りの11銘柄は、原油ほど高値水準にない、あるいは現在、下落傾向が目立っている銘柄です。

 レアメタルや非鉄金属価格は全般的に、上昇傾向にあります。万年筆の先端部分や、ハードディスクドライブなどに用いられるルテニウムは、足元、153カ月(12年9カ月)ぶりの高値水準です。

 主に半導体に用いられ、今後は燃料電池にも用途が拡大する可能性があるガリウムは、104カ月(8年7か月)ぶり、レーザー材料や商用照明に使われるディスプロシウムは70カ月(5年9カ月)ぶりの水準です。

 また、近年、電気自動車(EV)が広く生産・販売され、注目が集まっているリチウムイオン電池の電極材料に用いられるコバルト、そして液晶パネルに用いられるインジウムは、ともにおよそ25カ月(2年1カ月)ぶりの水準です。

 レアメタルの他、農産物(穀物以外)では、生牛、赤身豚肉などの肉関連銘柄がおよそ1年半ぶり、オレンジジュース、綿花、砂糖が2~4年ぶり、穀物では、トウモロコシ、大豆、小麦のほか、大豆ミール、大豆油などの大豆製品がいずれもおよそ7年ぶりの水準です。

 また、筆者が入手できたデータでは、足元の価格は、木材が1986年4月、ロジウムが1992年7月、イリジウムが2001年1月、鉄鉱石が2013年10月、チタンが2019年12月以降の、高値水準です。

 このように見てみると、多数の(ほぼ全てと言ってよい程)コモディティ銘柄の足元の価格は、記録的な水準にあると言えます。原油や銅、プラチナ、穀物などの主要銘柄だけではありません。今、全体的に、コモディティ銘柄は高くなりつつあるのです。