「つみたてNISA」を活用して世界株式の長期投資を実践する

 国内では、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が2014年に導入されて以降、個人投資家の活用が普及してきました。株式や投資信託などの取引で得られる利益に対し税金がかからない仕組みが魅力です。本稿では、一般NISAと比較して認知度がやや低い「つみたてNISA」に注目します。

 この制度は毎月(もしくは定期的に)投資信託などを購入し続ける資産形成を想定し、運用できる期間が「最大20年」と一般NISAより長いことが特徴です。

 つみたてNISAの年間投資枠は40万円と一般NISA(現行:120万円)より少ないですが、毎年投資枠を活用すれば投資元本総額は800万円(40万円×20年)となります。

 そして、運用期間が20年に達する前でも、留学、結婚、教育、リタイヤメント(老後)、その他の資金需要に応じて20年内に運用を終了し現金化することも可能です。

 長期分散投資と時間分散(積立)投資のメリットに理解を深めた投資家が増えています。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金:原則として60歳まで引き出せない運用制度)に加え、「つみたてNISA」の活用が増えている状況、「コア・サテライト戦略」のコア(中核)を形成する資産運用の王道が広まっている意味で合理的な流れだと考えています。

<図表4:世界株式の積立シミュレーション(過去20年)>

*上記は参考情報であり将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2021年1月)

 図表4は、約20年前(2000年1月)から世界株式(MSCI指数)に3万円ずつ積立投資を実践してきた場合の投資成果を円換算で検証したものです。

 ドルコスト平均法効果(株価が下落すると購入口数が増加する効果)と複利運用効果(雪だるま効果)で「累計投資口数」は着々と増加しました。本年1月末時点の時価資産は約1,909.8万円と累計投資額(759万円=3万円×253回)の約2.5倍に増えています。

 20年の間には株式市場が低迷する場面は幾度もありましたが、株式の堅調回帰に沿い時価資産が増加してきた実績が検証できます。