不安先行で上昇したドルが反落。今後、代替通貨起因で金(ゴールド)は上昇!?

 以下のグラフのとおり、先週はジャンルを超えて、多くの銘柄が上昇しました。詳細な解説は今週の「ビットコイン、パラジウム、ナスダックが大幅上昇【ジャンル横断・騰落率ランキング】」をご参照ください。

図:ジャンル横断騰落率 10月30日(金)と11月6日(金)

出所:楽天証券のマーケットスピードⅡ、ミンカブ・ジ・インフォノイドのデータより筆者作成

 先週は“ほぼ全面高”だったと言えます。日米中の主要株価指数、主要通貨、そして主要コモディティの合計22銘柄において、下落したのはドル/円、ドル/スイス。ドル/カナダドルの3つのみでした。コモディティにおいては、金(ゴールド)も原油も、上昇しました。

“株高・ドル安・金高”の背景は、“バイデン氏勝利確実”の報をきっかけに、複数のプラスのムードが市場に広がったことが要因とみられます。たくさんの不安要素を抱えたまま行われた今回の米大統領選挙が無事終わる見通しとなり安堵感(あんどかん)が生じ、この4年間のトランプ政権下、底流していた“漠然とした不安”から抜け出す見通しが浮上して解放感が生じ、上院と下院が異なる政党が多数派を占めることを意味する“ねじれ”により、バイデン氏が訴求してきた法人税増税がすぐには行われない、との思惑から安心感が生じたと、考えられます。

 安堵感、解放感、安心感などのプラスのムードは、景気回復期待を生み、株高の要因になり、そして、リスクが高まった時に“現金化”のために買われたドル反落の要因になり、そのドル反落が、代替通貨の側面から、金上昇の要因になったと考えられます。

図:金相場を取り巻く環境(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 冒頭で述べた通り、投票日当日は、トランプ氏が大きく、バイデン氏を引き離していました。郵便投票が今回よりも少なく、ほぼ投票日に勝敗が決まった4年前の感覚で言えば、確かに、トランプ氏はほとんど勝利していたのかもしれません。

 しかし投票日翌日以降、みるみる劣勢に立たされ、5日目にバイデン氏に勝利宣言をされました。仮に本当に、「不正な」郵便による投票が原因で勝利を逃したのであれば、まさに“盗まれた”と言えなくもないでしょう。とはいえ、法廷闘争では、トランプ陣営に不正を立証する責任があるため、立証できなければ、負けを認めざるを得ません。

 今回の選挙は、全体的には、有権者が不安を抱きやすい“コロナ禍”であることに細心の注意を払い、“郵便による投票を味方につける”ことが、勝つための条件だったと言えそうです。

 米大統領選挙の投票日は過ぎましたが、しばらくは、期待先行の株高、不安心理の後退によるドル安、ドル安をきっかけとした“代替通貨”の側面からの金(ゴールド)高は、続く可能性があると、筆者は考えています。

 仮に、期待先行で上昇した株価が、トランプ氏が法廷闘争を激化させたり、欧米のコロナの感染拡大によりロックダウンが目立ち始めたりし、反落に転じたとしても、これらの事態が強める“有事のムード”と、株安をきっかけとした“代替資産”の側面から、金(ゴールド)は、買われる可能性があると、考えています。

 金相場は、細かい上下を伴いながらも、今後しばらく、材料を入れ替えながら、上値を切り上げ、年内あるいは年明けの早い段階で、2,000ドルを回復するのではないか、と現段階で考えています。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)