競争力ある製品を有する繊維・金属製品・化学・石油株に注目

 以下に、私が考える、今買っていくべき「景気敏感株」を挙げました。

投資の参考銘柄

コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
3402 東レ 501.6 1.8% 20.1 0.73
3436 SUMCO 1,623.0 2.0% 15.8 1.55
4005 住友化学 333.0 3.4% 14.6 0.59
4188 三菱ケミカルHD 632.5 3.8% 18.3 0.76
5020 ENEOS HD 383.0 5.7% 30.8 0.53
出所・注:配当利回りは、1株当たり配当金(今期予想)を7月14日株価で割って算出。1株当たり配当金は、東レ9円、三菱ケミカル24円、ENEOS22円は、会社予想。会社予想を公表していないSUMCO31.81円、住友化学11.25円は日経QUICKコンセンサス予想。PERは、7月14日株価を、1株当たり利益(今期予想)で割って算出。1株当たり利益は、東レ、三菱ケミカル、ENEOSは、会社予想。会社予想を公表していないSUMCO・住友化学は日経QUICKコンセンサス予想

 上記は、いずれも競争力のある製品を有し、短期的な業績リスクはあっても、長期的に利益回復が期待できる銘柄です。

 東レは、航空機の機体や、自動車の車体に使われる炭素繊維複合材で、高い競争力を有します。鉄より硬く、鉄よりも軽い炭素繊維は、今後、さまざまな分野で鉄の代替素材として使用が広がっていくと期待されます。

 同社は14日、「空飛ぶ車」を開発するドイツのリリウム社向けに炭素繊維複合材料を供給すると発表して、話題になりました。「空飛ぶ車」は、垂直離着陸が可能な次世代交通システムとして期待されています。車体の軽量化に、炭素繊維は不可欠と考えられます。

 東レは、他にも、海水淡水化に使う「逆浸透膜」など、競争力のある製品を多数有します。短期的な業績は厳しくても、株価が下がったところで投資し、長期保有して株価の回復を待つのが良いと思います。

 SUMCOは、半導体生産に不可欠な、シリコンウエハーで、世界第2位です。私は、来年には半導体ブームが復活すると予想していますので、半導体不況で業績が悪化しているSUMCOは、今が買い場だと判断しています。

 住友化学と三菱ケミカルは、化学株です。日本の化学株は大手でも国際比較で小規模なので、汎用品ではまったく競争力がありません。

 小粒でもピリリと光るもの、つまり、電子材料・医薬品・農薬・その他スペシャリテイケミカルといった、高付加価値品で高い競争力を有する化学株にしぼって投資すべきと考えています。

 その点、両社とも電子部材や医薬品など、高付加価値の化学品の構成比が高く、将来が期待できます。車載用リチウムイオン電池材料、有機EL材料、半導体関連製品など、成長が期待できる製品群を有します。

 ともに、医薬品を強化していることも共通点です。住友化学は、大日本住友製薬を子会社に有します。三菱ケミカルは、田辺三菱製薬を完全子会社化しました。

 ENEOS HDは、エネルギ-分野で、川上(原油資源開発)から川下(石油製品)まで、一貫生産できる強みを持ちます。原油備蓄義務があり、前期は、原油急落で在庫評価損が出て収益が急激に悪化しました。

 ただし、原油価格が反発すれば、今後は在庫評価損は出なくなり、逆に在庫評価益が出る可能性もあります。配当利回り(会社予想ベース)が5.7%と高く、高配当利回り株として、じっくり長期投資して良いと考えています。

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