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7月14日:上海総合指数、上昇加速!日本株は景気敏感株の仕込みどき?

中国関連株に改めて注目

 日本には、中国と経済的つながりが大きい「中国関連株」がたくさんあります。「中国関連株」には、主に、以下の3種類があります。

【1】    中国関連・設備投資関連株
 安川電機(6506)ファナック(6954)小松製作所(6301)など。昨年から、米中貿易戦争の激化で、中国での設備投資が減少した影響を受けて、業績が悪化していました。そこに、今年はさらにコロナ危機が追い打ちをかけた形です。ただし、先行き中国景気が底入れし、回復に向かえば、設備投資関連株の業績も回復に向かう期待があります。

【2】    中国関連・消費関連株
 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)ユニチャーム(8113)花王(4452)など。米中貿易戦争があっても、中国の消費は安定的に高成長が続いてきました。

 ところが、今年はコロナ危機の影響で、消費まで一時的に落ち込みました。消費関連株もその影響を受けて、一時的に業績が悪化しています。ただし、中国市場で競争力のある消費関連株は、中国景気が回復すれば、再び、安定成長が見込めます。

【3】    素材・市況セクターの株
 化学セクター・鉄鋼セクター・海運セクターなど。中国景気が好調だと、化学・鉄鋼・海運などの国際市況が上昇するので、その恩恵を受けます。

 中国向けの売り上げが大きい会社は、文字通り「中国関連株」です。ただし、必ずしも中国向けの売り上げが大きくなくとも、間接的に市況上昇の恩恵を受けるので、「中国関連株」と言われることもあります。

出遅れ中の素材・市況セクターに割安感

 上記の中で、今日、特にご紹介したいのは、【3】素材・市況セクターの株です。なぜならば、株価が出遅れているものが多いからです。日経平均株価は、既に2万2,000円台まで回復していて、中国設備投資関連株や消費関連株も、それなりに株価は反発しています。

 ところが、素材・市況セクターの株には、底値からの株価の戻りが鈍いものがたくさんあります。中国景気の低迷、市況の低迷のダブルパンチで、短期的な業績のダメージが大きいと考えられているからです。

 確かに、短期的な業績には注意が必要な銘柄が多いと言えます。それでも、国際競争力のある製品を持つ、化学・繊維株などには、今から投資していって良いと考えています。リスクはまだ高いものの、それ故に、株価が低水準にあることが、今から投資したいと考える理由です。

 中国景気や米国景気の回復基調がはっきりして、業績悪化のリスクが低くなってから投資するとの考えもありますが、そうなると、株価は今よりも高い水準で買うことになるはずです。リスクがあって、株価が低水準にあるときの方が投資魅力は高いと、私は考えます。

競争力ある製品を有する繊維・金属製品・化学・石油株に注目

 以下に、私が考える、今買っていくべき「景気敏感株」を挙げました。

投資の参考銘柄

コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
3402 東レ 501.6 1.8% 20.1 0.73
3436 SUMCO 1,623.0 2.0% 15.8 1.55
4005 住友化学 333.0 3.4% 14.6 0.59
4188 三菱ケミカルHD 632.5 3.8% 18.3 0.76
5020 ENEOS HD 383.0 5.7% 30.8 0.53
出所・注:配当利回りは、1株当たり配当金(今期予想)を7月14日株価で割って算出。1株当たり配当金は、東レ9円、三菱ケミカル24円、ENEOS22円は、会社予想。会社予想を公表していないSUMCO31.81円、住友化学11.25円は日経QUICKコンセンサス予想。PERは、7月14日株価を、1株当たり利益(今期予想)で割って算出。1株当たり利益は、東レ、三菱ケミカル、ENEOSは、会社予想。会社予想を公表していないSUMCO・住友化学は日経QUICKコンセンサス予想

 上記は、いずれも競争力のある製品を有し、短期的な業績リスクはあっても、長期的に利益回復が期待できる銘柄です。

 東レは、航空機の機体や、自動車の車体に使われる炭素繊維複合材で、高い競争力を有します。鉄より硬く、鉄よりも軽い炭素繊維は、今後、さまざまな分野で鉄の代替素材として使用が広がっていくと期待されます。

 同社は14日、「空飛ぶ車」を開発するドイツのリリウム社向けに炭素繊維複合材料を供給すると発表して、話題になりました。「空飛ぶ車」は、垂直離着陸が可能な次世代交通システムとして期待されています。車体の軽量化に、炭素繊維は不可欠と考えられます。

 東レは、他にも、海水淡水化に使う「逆浸透膜」など、競争力のある製品を多数有します。短期的な業績は厳しくても、株価が下がったところで投資し、長期保有して株価の回復を待つのが良いと思います。

 SUMCOは、半導体生産に不可欠な、シリコンウエハーで、世界第2位です。私は、来年には半導体ブームが復活すると予想していますので、半導体不況で業績が悪化しているSUMCOは、今が買い場だと判断しています。

 住友化学と三菱ケミカルは、化学株です。日本の化学株は大手でも国際比較で小規模なので、汎用品ではまったく競争力がありません。

 小粒でもピリリと光るもの、つまり、電子材料・医薬品・農薬・その他スペシャリテイケミカルといった、高付加価値品で高い競争力を有する化学株にしぼって投資すべきと考えています。

 その点、両社とも電子部材や医薬品など、高付加価値の化学品の構成比が高く、将来が期待できます。車載用リチウムイオン電池材料、有機EL材料、半導体関連製品など、成長が期待できる製品群を有します。

 ともに、医薬品を強化していることも共通点です。住友化学は、大日本住友製薬を子会社に有します。三菱ケミカルは、田辺三菱製薬を完全子会社化しました。

 ENEOS HDは、エネルギ-分野で、川上(原油資源開発)から川下(石油製品)まで、一貫生産できる強みを持ちます。原油備蓄義務があり、前期は、原油急落で在庫評価損が出て収益が急激に悪化しました。

 ただし、原油価格が反発すれば、今後は在庫評価損は出なくなり、逆に在庫評価益が出る可能性もあります。配当利回り(会社予想ベース)が5.7%と高く、高配当利回り株として、じっくり長期投資して良いと考えています。

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