原油の異常価格が起爆剤。“代替資産”“代替通貨”“有事”の3つがそろった

 先々週まで、金価格が上昇したのは、“代替通貨”、“有事のムード”、という金価格の変動要因の2つのテーマで、上昇圧力がかかったためだと考えています。この点については、先週のレポート「金が1,800ドルを超える条件、OPEC減産でも原油価格が上昇しない理由」で述べました。

 そして先週の上昇は、これら2つに“代替資産”が加わって起きたと考えています。まずは目先、1,800ドルを現実的に超える可能性が高まってきていると、感じています。

 このように感じるのは、先週、NY原油先物の期近限月が、一時マイナス圏入りしたためです。この、“NY原油先物価格の一時マイナス”が金相場に与える影響について、以下の図のように考えています。

図:足元の金相場の環境(イメージ)

出所:筆者作成

 NY原油先物価格が一時、マイナス圏入りしたことは、もともとあった“代替通貨”と“有事のムード”による物色をさらに強め、それに加えて“代替資産”による物色が進むきっかけが生まれた、と言えると思います。

 原油価格は一時的にマイナス価格となる以前と、現在を比べれば、金相場を取り巻く環境は大きく変化していると思います。足元、複数のテーマからの圧力が強まっていると見られ、金(ゴールド)価格は、目先、上値を伸ばす、具体的には先述の節目、NY金は1,800ドル、東京金は6,000円を超えると、筆者は考えています。