金急騰の主因は、ドル指数の“逆V字”

 金のV字回復の直接的な要因は、ドル指数の“逆V字”だと筆者は考えています。

図:NY金とドル指数の動き

出所:CMEなどのデータより筆者作成

 3月19日ごろ、3月2週目から下落したNY金は底をうち、上昇したドル指数は天井をつけ、それぞれ反転しました。短期的に、ドルと金の逆相関の動きが目立ったわけです。

 ドルと金は、ともに“世界共通のお金”という側面を持っています。ドルは現在、世界の貿易で最も多く使われている基軸通貨であり、金は歴史的に、どの国に行ってもお金に換えられる無国籍通貨です。まさに2つは世界共通のお金と言えます。

 ドルと金(ドル建て)の逆相関の関係は、ドルが強くなれば金(ドル建て)が弱くなる、逆にドルが弱くなれば金(ドル建て)が強くなることで生じる関係と言えます。

 その意味では、V字回復の“回復”の部分だけでなく、下落の部分の主因もまた、ドル指数の動きだったとも言えます。3月2週目から“ドル高・金(ドル建て)安”、3月19日ごろを境に“ドル安・金(ドル建て)高”という具合です。

 3月19日ごろが、金もドルも反転のタイミングとなったわけですが、その時に起きたこととして考えられるのが、ドル買いの一巡による“総悲観の一巡”だと筆者は考えています。