2020年の高値予想、プラチナは1,200ドル

 次はプラチナです。2019年12月16日時点で、1トロイオンスあたり930ドルあたりで推移しています。現時点で、2020年は800ドルから1,200ドルの範囲で推移すると考えています。

図:プラチナ価格の2020年の想定レンジ (中心限月、日足、終値) 単位:ドル/トロイオンス

出所:CMEのデータをもとに筆者作成

 プラチナ価格は近年、800ドル近辺を維持し、底堅く推移しています。この800ドル近辺は、2009年につけたリーマンショック後の記録的な急落後につけた水準とほぼ同じです。つまり、現在はほぼ、記録的な安値水準で推移しているわけです。

 また、プラチナの主要な消費内訳である、欧州における自動車排ガス触媒向け消費と中国の宝飾向け消費が減少傾向にあり、かつ今後も減少する見通しが出ています(以前のレポート「プラチナ安値圏、パラジウム史上最高値。長期的に貴金属に投資するなら?」を参照)。

 主要な消費内訳が減少傾向にある(見通しも弱い)にもかかわらず、価格が底堅いということは、プラチナ相場は長期的に、強い力で支えられていると考えられます。生産者が価格を下落させないように支えている、あるいは底堅さに着目した投資家が買っている、などが考えられます。

 このようなプラチナ特有の状況に、米大統領選挙という要素を加えて考えると、プラチナは消費の7割弱が工業用の用途である、という特性から、トランプ大統領の株高施策が功を奏し、景気回復ムードが強まれば、将来のプラチナの工業向け消費が拡大する期待が高まり、プラチナ価格は上昇する可能性があります。

 また、景気回復ムードは、主要国の宝飾向け消費を増加させる要因にもなり得ます。工業向け消費の拡大期待も相な成り、株高・プラチナ高、という図式が強まる可能性があります。

 全体的に、2020年のプラチナ価格は、従来の底堅さにサポートされながら、株価の状況次第で上値を伸ばす展開となると考えています。