人口の増えない日本で、新幹線がけん引役となってJR4社は最高益を更新

 人口の増えない日本で、鉄道業は成熟産業と見られていましたが、新幹線収入の拡大によって、JR東海・JR東日本・JR西日本は、安定的に最高益を更新してきました。最高益を更新していく力が評価され、JR各社のIPO(新規上場)後の株価上昇率(公募価格との比較)は、以下の通り、いずれも高くなっています。主な民営化株の上場来パフォーマンスを比較すると、NTTや日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のように、いまだにマイナスのところもある中、JR4社のパフォーマンスの良さが目立ちます。

日本の主要な民営化株の上場来パフォーマンス比較:2019年11月13日時点

注:楽天証券経済研究所が作成、株価騰落率は株式分割考慮後、受け取り配当金を含まないベース。NTTは上場来のパフォーマンスがマイナスとなっているが、受け取り配当金まで含めるベースではプラスとなる

 新幹線は、かつてビジネス客中心の乗り物でしたが、今や「国民の足」として、利用が拡大してきました。そこに、外国人観光客の利用拡大がさらに追い風となっています。グリーン席の利用率増加も、収益拡大に寄与しています。

 2015年11月に上場とともに完全民営化(政府保有株をゼロにすること)を達成したJR九州も、先行き、収益を拡大していくと予想しています。人口減少地域で鉄道業の収益が悪化する不安はあるものの、九州新幹線の収益拡大が期待されます。また、早くから、観光客を楽しませる多様な観光列車(デザイン&ストーリー列車)の導入を進めてきた効果も、九州地区へのアジアからの観光客増加で効果を発揮します。ホテルや不動産業などへの多角化も進んでおり、人口減少を補って、グループで収益を底上げしていく体制ができあがっていると考えています。

 JR九州が導入で先行した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星」の旅は、予約倍率が10倍前後で、好調です。従来の寝台列車とは異なり、動くホテルのような快適さが受けています。JR九州の成功を見て、JR西日本・JR東日本も豪華寝台列車の旅を導入しましたが、いずれも好評です。

 なお、私の勝手な予想ですが、いずれJR4社が提携して豪華寝台列車を使って全国をめぐる長期旅行が売り出されると思っています。そうなれば高い人気を集め、4社の収益拡大に寄与すると考えています。