米中通商協議の決着は先送られ、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げもサスペンドされそうだが、その間に世界景気はどんどん悪化しきそうだ。シラーPERやバフェット指標が歴史的高水準にあるなか、それを高値圏で持続的に維持できるような環境も政策も現在はないことに注意したい。

バフェット指標

 

ドル/円はレンジ相場がもうしばらく続くのか…

 米利上げ棚上げと資産売却停止というドル安材料と、足元の株高というリスクオン的な円安材料に挟まれて、ドル/円相場はまたもやレンジ相場に復帰してしまったようだ。

 ユーロ/ドルにいたっては、昨年の6月からずっとレンジ相場が続いている。損切り注文を置いて逆張りをするしかない相場である。

ドル/円(日足) ATRチャネルトレードモデルと逆張りシグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ユーロ/ドル(日足)オプションボラティリティと14日ATR(ボラティリティが上がらない…)

出所:石原順

ユーロ/ドル(日足) ATRチャネルトレードモデルと逆張りシグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/ドル(日足) ATRチャネルトレードモデルと逆張りシグナル 

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル/ドル(日足) ATRチャネルトレードモデルと逆張りシグナル 

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 

相場で最も大切なのは大きな損をしないこと

 相場で最も大切なのは大きな損をしないことである。大暴落に引っかかるとポジションが「塩漬け」になるか、FXや先物取引の場合は証拠金がなくなって、市場から強制退場をくらってしまう。大きな損をすると、投資効率が死んでしまうのだ。

 相場は当てたい、あるいは儲けたいという欲望のゲームとして始まるが、お金がなくなればゲームオーバーである。人間の心理は相場で損をするようにできており(心理学のプロスペクト理論)、実際に損が出るとそれを確定するのが怖くなって、損失を膨らませ続けてしてしまう。だから、相場で一番大切なのは資産管理(マネーマネージメント)であり、具体的にはストップロス注文を必ず置くことである。

 相場の予測が当たることと、相場で儲けることには何の関係もない。相場の短期予測など半分は外れるし、長期予測は上げでも下げでもどっちか言っておけば、いつかは当たるだろう。相場の実践では予測があたってもタイミングが当たらないと役に立たない。漠然とした予測を当てても仕方がないのである。

 相場で大きな損をするのは、予測が外れたからではない。大損失は、「間違ったポジションをとってしまった後の対処のまずさ」に起因している。繰り返し言っておくと、人間の心理は相場で損をするようにできている。だから、相場は一にストップ、二にストップなのである。ストップロス注文を入れないと、相場は運だけの賭博行為になってしまう。