韓国の輸出成長率指数は歴史的に「世界的収益」を正確に予測してきた

 現在のマーケットは、「世界景気に対する楽観論」が支配している。しかし、「韓国の輸出成長率指数」をみると、世界景気は危険信号を発している。

韓国の輸出成長率指数

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート【THE GLOOM BOOM & DOOM】・日本代理店パンローリングの許可をとって掲載

【重要なのが韓国の輸出成長率指数である。歴史的に世界的収益を正確に予測してきたからだ。この指標が5月初めにマイナスに転じた。世界的収益減少の予兆」である。ところが、大多数から完全に無視された。この指標を重視して追跡していた人たちでさえ、そうだった。以来、市場は収益に潜むリスクを評価しないでいる。実際のところ、収益予測に「さらに」強気だ。】(アデム・トゥマーカン パリセイド・リサーチ社)

 パリセイド・リサーチ社のアデム・トゥマーカンが説明しているように、韓国の輸出成長率指数は歴史的に「世界的収益」を正確に予測してきた。この指標が2018年5月にマイナスに転じている。これは、世界的収益減少の予兆であろう。

 トランプ米大統領が仕掛けた米中貿易戦争で、中国叩き論者が中国を経済的にも政治的にも追い詰めれば、世界経済・金融に深刻な結果がもたらされる可能性があるのではないだろうか?

【最近発行されたフォーリン・アフェアーズ誌(訳注:米外交問題評議会が発行する政治雑誌)にオバマ政権でアジア担当だったカート・キャンベルとイーライ・ラトナーによる自己批判の記事が掲載された。2人は次のように述べている。 「米国の外交政策担当者が中国に向ける期待は大きいままだ。(中略)その反証が積み重ねられているにもかかわらず……」 こうした素直さが、もっと前からあれば、トランプは大統領に当選しなかったかもしれない。彼の当選は、これまでの超党派合意による対中政策の負担(特に中国からの輸入品による雇用喪失)に対する大衆の反発によるところが大きかったからだ。今の中国は19世紀から20世紀初頭にかけて西洋列強と日本に経済的にも軍事的にもいじめられた弱々しい分断された国ではない。今や世界最大の工業生産、先進技術、最上級のインフラ、世界第2位のGDP、愛国的かつ連帯感の強い国民を誇る国となった。中国叩き論者が同国を経済的にも政治的にも追い詰めれば、世界経済・金融に深刻な結果がもたらされるだろう。】(マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート「THE GLOOM BOOM & DOOM」)

上海総合指数(週足)

出所:石原順