日本10年国債金利(日足) 0.13%まで上昇。「従来の倍程度」と黒田総裁が述べている0.2%程度が日銀の金利上昇容認レートか?

出所:石原順

 

 陰鬱博士と呼ばれる著名投資家のマーク・ファーバーは、「エコノミストもファンドマネジャーも当局が介入するほど良い政策であると常に考えている。財政・金融政策によるあらゆる実験と介入に、過誤がある可能性、副作用がある可能性、さらなる介入で過誤を招く可能性があることを、つい忘れしまう。この教訓を旧ソ連や毛沢東時代の中国にあった中央計画当局から学んでいるはずなのに…。経済政策の決定権者はまずは市場と資本主義制度に危害を加えないことからというお題目を何度も唱えているにもかかわらず、ほとんど何も処置をしないこと、ましてや何もしないことに抵抗を感じてしまう。さらなる量的緩和・政府の消費景気・公的資金援助・新しい規制・移転支出・マイナス金利によるあからさまな富の没収をしたいという気持ちを抑え難いのだ」と述べているが、いずれにせよ、現在の日銀の金融政策は麻薬のような依存性を発揮しており、それが破綻するまで出口はないのである。

 長短スプレッド縮小の問題は日本だけではない。先進国経済はみんな日本化(ジャパナイゼーション)している可能性がある。すなわち、低インフレ局面の長期化だ。ローレンス・サマーズは「バブルがないと経済はマイナスの自然利子率に陥ってしまう」と述べているが、こうした長期停滞の考え方はMITコンセンサスと呼ばれ、現在の中央銀行の政策のメインストリームを形成している。現在の金融システムを維持するためにはバブルが欠かせないのである。物価も賃金も上がらないが資産価格だけは青天井という現在の状況は時代のあだ花なのかもしれない。

 

テクノロジー株も盤石とはいえない…総楽観相場に変化?

 1946年から64年に誕生したベビーブーマーを退け、現在の米国の人口でトップを誇るのは約8,000万人のミレニアル世代である。ミレニアル世代が投資を始めたのは、2007年~2009年の資産価格崩壊後で、ミレニアル世代は下げ相場を知らない。「上がるから買う、買うから上がる」という相場しか知らないのである。

 陰鬱博士と呼ばれるマーク・ファーバーは、【ミレニアル世代の多くはおカネを持っていない。だが、ファンド運用会社で働いている。そのほとんどが投じているのは他人のおカネだ。1985年以降に生まれたミレニアル世代はFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)といった類の銘柄で陶酔感に浸る小さな集団を形成している。彼らはここ数年、FAANG系株式への投資を推奨したことで尊敬を勝ち取ってきた。市場平均を大幅に上回った成績を出してきたからだ。だが、大部分の市民はバブルに関与していない。ほとんどの人に貯蓄がなく、そのため投資ができないからだ。しかも、バブルがあまりにも広範囲に及んでいるため、それを識別して参加できない】と、“史上最少の一般参加者による”史上最大の資産バブルに注意を促してきた。

ミレニアル世代で最も人気のある保有株

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート【THE GLOOM BOOM & DOOM】・日本代理店パンローリングの許可をとって掲載