シリコンバレー銀行ショック、金融不安が収まれば株式市場に追い風

 利上げ加速の不安で下落していた米国株で、FRBが利上げに慎重になるとの見通しが出てきたことは追い風です。金融不安が収束するか、このままどんどん連鎖破たんが広がって不安が高まるかが、今後の株式市場のカギを握ります。

NYダウと日経平均推移:2020年末~2023年3月17日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 シリコンバレー銀行が、株式市場に与える影響として、3月15日のレポートに書いた通り、以下四つを想定しています。

シリコンバレー銀行破たんの影響:四つのシナリオ

出所:筆者作成

 現時点で、利上げ停止の時期が早まる可能性は高くなったと考えられます。上のシナリオ1または2が実現する可能性が高まりました。

 3月21~22日のFOMCで、FRBが利上げを見送れば、さらにその可能性が高まります。ただし、0.25%の利上げを行うと、シナリオ3または4の可能性も残ります。

 金融危機が起こるか否かが、もう一つの注目点です。歴史的に、金融危機は不動産価格が急落して、銀行に不良債権が増大する時に起きています。現時点でまだ不動産関連の不良債権が増大していることはありません。

 したがって、私は、FRBが早々に利上げを停止すれば、金融危機は避けられると考えています。つまり、私はシナリオ1の可能性が高いと考えています。

 ただし、シナリオ2・3・4のリスクもあり、当面、FRBの動きを慎重に見守る必要があります。

日本株の投資判断

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 ただし、米利上げが続くことによる短期的なショック安はまだあるかもしれません。時間分散しながら割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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