米2年金利が急低下

 欧米で金融不安が広がった原因として、FRBによる利上げピッチが速すぎたということがあります。0.25%ずつ年4回の利上げが普通のペースで、それだと年1%の利上げとなります。

 年1%ずつ何年かかけて金利が大幅に上昇していくならば、銀行経営が急に悪化することはありません。ところが、2022年はFF金利が1年間で4.5%も上がりました。あまりに金利上昇のピッチが速く、長期国債が暴落したために、財務に問題を抱える銀行が出てきました。

 こうした環境変化を受けて、3月21~22日のFOMCで、FRBは利上げを見送るという見方も出ています。あるいは、0.25%だけ利上げするとの見方もあります。

 一時優勢だった、利上げ幅拡大(0.5%の利上げ)の可能性は、ほぼなくなったと見られています。先行きの利上げ停止・利下げも織り込み、金融市場で、米2年金利が急低下しました。

米10年・2年・FF金利推移:2021年1月4日~2023年3月17日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 上の金利チャートには、金融市場の先行きの金利観測があらわれています。

【1】2022年1~9月:FF金利の上昇とともに10年・2年金利も上昇

 短期的にも中期的にも長期的にも、金利水準が引きあがる見通しを織り込み。

【2】2022年10月~2023年2月:FF金利が上昇しても10年金利は低下

 短期金利が上がっても、10年金利は低下。短期的に金利が上がっても、長期的には下がる見通しを織り込み。

【3】2023年3月:2年金利が急低下、FF金利を大幅に下回る

 短期金利が上がっても、10年・2年金利は低下。2年・10年の期間で、金利低下が見込まれている。