2023年2月の裁定残高の意味

 2月3日時点で、裁定売り残は2,342億円、裁定買い残は3,983億円あります。売り残高も買い残高も、どちらも低水準です。この残高をどう解釈したら良いでしょうか?

 裁定売り残が低水準なのは普通ですが、裁定買い残高がここまで低いのは珍しいことです。裁定残高は、過去を振り返ると1兆円くらいあるのが普通だからです。投機筋は、日本株に弱気で、買いポジションをほとんど持っていないことが分かります。

 投機筋が買いポジションをほとんど持っていない、ということは、株式市場の需給面ではポジティブな材料です。日本株に強材料が出れば、投機筋の先物買いで日経平均は上昇しやすいし、日本株に弱材料が出ても、投機筋が先物の買い建てを閉じるために、急いで先物を売ってくることは無いと言えるからです。

 裁定残高から分かることは、それだけです。日経平均の先行きを判断するためには、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化と、投機筋の動きを両方見ていく必要があります。

 日本株の投資判断として、結論はいつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場と判断していますが、短期的にはショック安が終わっていない可能性もあるので、時間分散しながら、少しずつ割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

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