2021年7月以降の日経平均の動きと、投機筋の先物売買

 2021年以降、日経平均は狭いレンジのボックス圏で推移しています。ボックス圏の中で、上昇・下降を繰り返していますが、その動きを主導しているのは、投機筋の先物売買です。それが以下のグラフに表れています。

日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2021年7月4日~2023年2月14日(裁定売買残高は2月3日まで)

出所:QUICK・東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

 2021年7月以降、現在まで、日経平均の動きは主に裁定残高の変化で説明できます。

【1】日経平均、2021年8月30日~9月14日にかけての上昇

 2021年8月30日から9月14日にかけて日経平均は急騰し、9月14日に2021年の高値3万670円をつけました(2021年の日経平均チャートで赤の上向き矢印をつけたところ)。

 ここでは、裁定買い残高が大きく上昇しています。外国人の投機筋が、日経平均先物の買い建てを増やしたことが分かります。つまり、外国人投機筋の先物買いによって日経平均が急騰して高値をつけたことが分かります。

【2】日経平均、2021年10~11月の下落

 2021年10~11月に日経平均は下落しています。その間、裁定買い残高が大きく減少しています。外国人投機筋が、日経平均先物の買い建てを減らしたと考えられます。つまり、外国人の先物売りによって、日経平均が下落したと言えます。

【3】2022年の日経平均

 1~9月くらいまで、裁定買い残高が増えると日経平均が上昇し、裁定買い残高が減ると日経平均が下落していることが分かります。投機筋が日経平均先物の買い建てを増やしたり減らしたりするのに応じて、日経平均が上昇・下落していることが分かります。

 2022年10~12月は、裁定売り残高の変化も影響しています。裁定売り残高が増えると、日経平均が下落して、裁定売り残高が減ると、日経平均が上昇していることが分かります。投機筋が日経平均先物の空売りを増やしたり、減らしたりしている影響が出ていると、考えられます。

 少し説明が難しくて分からなかったかもしれません。結論だけ理解してください。結論は、「日経平均の短期的な値動きは、投機筋、主に外国人の日経平均先物売買が先導している」ということです。