市場はソフトランディングを意識しはじめるか

 米国市場でのインフレと債券市場金利の落ち着きを受け、今後のマクロ見通しが変化する可能性もあります。図表3は、世界と主要国(地域)の実質GDP(国内総生産)成長率を巡る民間エコノミストによる予想平均を示したものです。

 世界の実質成長率は、2022年の+3.0%から2023年は+2.1%へと減速する見通しですが、2024年には+2.9%に持ち直す予想となっています。

 特に、2023年は欧米など西側諸国の需要が停滞する中、世界第2位の経済規模を持つ中国の投資と家計の支出回復が世界貿易を下支えする一助になる見込みとなっています。中国経済のゼロコロナ政策緩和に伴うリオープン(経済再開)が、2023年に低迷する世界経済に活力を与え、2024年に向けた景気回復傾向を下支えていく見通しとなっています。

<図表3>世界経済見通しは2024年の持ち直しを予想

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年1月18日)

 中国人が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後に初めて海外旅行に出掛けるようになり、経済成長の追い風は航空や観光といったサービス分野で実感される見込みです。東南アジアで観光業への依存度が高い国々がまず好転する可能性が高く、先進国も中国人旅行者が戻ってくる恩恵を受けるだろうとみられています(1月16日Bloomberg News)。

 実際、IMF(国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事は前週、中国のゼロコロナ政策緩和と景気対策が2023年の世界経済成長にとって唯一の最も重要な要素になる可能性が高く、これは中国が年央ごろまで世界経済成長の貢献者になることを意味すると指摘しました。

 こうしてグローバルグロースが2023年から2024年に向けソフトランディング(軟着陸)の兆しをみせれば、半年から1年先の景気を先取りしようとする外国株式や日本株式は、短期的な乱高下を経つつ2023年後半に向けて復調傾向をたどると見込まれます。

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