株価指数別の年初来リターンに差がみられる
2023年入りして以降、米国株式は底堅い動きとなっています。特に、1月6日に発表された雇用統計(12月分)などマクロ指標がインフレや景気の減速を示すと、政策金利の長期的な上昇観測が後退。株価と債券価格が同時上昇(債券利回りは低下)する事象がみられました。2022年を通じては株安と債券安(債券利回りは上昇)が同時進行しましたが、その巻き戻しとみられるポジション調整の動きとも考えられます。
図表1は、米国市場における各種株価指数の「年初来リターン(騰落率)」を比較したグラフです。市場平均(多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種指数)よりも優勢な指数として、フィラデルフィア半導体株指数(年初来+8.8%)が挙げられます。2022年に同指数は、金利上昇や業績の伸び鈍化を嫌気し、暦年で35.8%下落しました。相場動向を表す言葉の一つに「リターン・リバーサル効果」(Return Reversal Effect)と呼ばれるものがあります。
これは、過去のパフォーマンスの低い株式が、その後高いパフォーマンスに転じ、反対に過去のパフォーマンスの高い株式がその後低いパフォーマンスに転じる現象のことを言います。半導体株指数のみならず、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数やナスダック100指数など昨年相対的に弱かった指数も市場平均(S&P500種指数)やダウ工業株30種平均を年初来リターンで上回っています。また、景気の先行きに敏感とされるダウ輸送株20種平均やラッセル2000小型株指数も市場平均を上回っています。こうした株価反発基調がどこまで続くかが注目されます。