年5%の運用を目指すためには

 その1つとして、国際分散投資の場合には、株式の比率を大幅に高めることによって、長期における理論上のリターンを高めることは可能です。ただし、上下のブレも大きくなるので、そのブレに耐える必要があります。

 幅広く分散されたノムラ・オールインワン・ファンドでも、リーマンショックのときには直近の高値から4割以上の下落をしています。それ以上のブレにも耐え抜くだけの強い心が必要でしょう。

 もう1つの方法は、長期保有せずに、タイミングを計って投資をしていくというやり方です。私はこちらのほうがおすすめです。長期保有すると、下落相場では資産は減ってしまいますが、「安く買い、高く売る」をすることで、より高いリターンを目指していこうとする方法です。

 ただし、これも「安く買い、高く売る」をうまくできればよいですが、下手をすると「高く買い、安く売る」をしてしまい、逆にリターンを下げるどころか、資産を減らしてしまう可能性もあります。

 そこで、タイミングの取り方として、頻繁に動くのではなく、景気循環を捉えてかなりゆったりと動いていくやり方をおすすめしたいと思います。端的に言うと、景気が悪くなってマーケットが下落したときに投資をして、景気が良くなってマーケットが上昇したときには現金に避難しておくという方法です。

 このところはおおむね3年半くらいの周期で循環していますので、イメージとしては3年半に1度ずつ、買うタイミング、売るタイミングがあるというものになります。

 ここで問題になるのが、「景気が悪くなってマーケットが下落したとき」「景気が良くなってマーケットが上昇したとき」の2つのタイミングをどう判断するかですが、感覚的なものでもよいかとは思いますが、「こうなったら動く」という何らかの基準を決めておくことをおすすめします。

 私自身は、「景気が悪くなってマーケットが下落したとき」については、ロボットメーカーであるファナック(6954)の在庫循環(2022年1月13日掲載「日経平均、ファナックの在庫循環から測る絶好の買いタイミングとは?」参照)を1つの基準にしています。

「景気が良くなってマーケットが上昇したとき」については、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の前年比の増減率(2021年10月14日掲載「日経平均株価は今がピークあたりか?」参照)を1つの基準にしています。

 感覚的に判断しようとすると、景気が悪くなってマーケットが下落しているときでも「まだ下がるのでは」と思って投資ができなかったり、いろいろと考えた結果、迷って判断ができなかったりします。これを防ぎ、しっかりとタイミングで動いていくためにも、何らかの基準は作っておいたほうがよいと思います。

 実際のところ、退職時にいくらを、どのような運用で目指すかは人それぞれですが、年齢を重ねていったときに「若いうちからコツコツと貯めておけばよかった」ということのないよう、新社会人の方は少額でもよいので、今から将来に備えていくことをおすすめします。

 投資はあくまでも自己責任で。