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著者の白石 定之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
今後の日経平均は上昇?横ばい?それとも下落?

日経平均の予想指標にシグナル出現

 日経平均株価(225種)はここ数カ月、3万8,000円台を中心に、上がったと思ったら下がり、下がったと思ったら上がる膠着(こうちゃく)状態となっています。

 この先、再度上昇していくのか、それとも下落してしまうのか、気になっている方も多いかと思いますが、今後の日経平均の動きを見る上で重要視している指標において、一つのシグナルが出てきましたので、その点についてお伝えしていきたいと思います。

 そのシグナルとは、独自分析している日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の増減率が、前年比でピークを付けるというもので、それが、今回6月14日に出た形となっています。

 2013年以降の日経平均と予想EPS前年比増減率の関係を見てみると、次のようになっています。

(グラフ1)日経平均と予想EPS(前年比増減率)の関係

出所:日経平均株価は日本経済新聞社の公表データを基に作成。日経平均予想EPSはIFIS提供データを基にマネーブレインが独自分析し作成

 グラフ1における青線は、日経平均構成銘柄の来期と再来期のアナリスト予想を基に、日経平均の予想EPSの前年比増減率を示したもので、予想EPSは独自に調整し、24カ月先のEPSをイメージしたものとなっています。

 そして、グラフにおけるピンクの縦線が、予想EPS前年比増減率のピークの時期になります。日経平均の動きと予想EPS前年比増減率のピークの時期との関係を過去にさかのぼって見てみると、青線がピークを付けて右肩下がりの状態には、ボトムを付ける数カ月前までは日経平均はおおむね良くて横ばい、場合によっては下落する動きになっています。

 そのピークが今回、6月14日に現れ、今後アナリスト予想で上方修正、下方修正のどちらもないと仮定した場合、青線はゆっくりとした右肩下がりになっています。

 これから先、予想EPS前年比増減率がどのように推移していくかは、予想EPSの値次第ですが、前年比ではなく、4週前比の増減率を見てみると、次のようになっています。

(グラフ2)日経平均と予想EPS(4週前比増減率)の関係

出所:日経平均株価は日本経済新聞社の公表データを基に作成。日経平均予想EPSはIFIS提供データを基にマネーブレインが独自分析し作成

 青線は、アナリスト予想で上方修正、下方修正のどちらもなければ、足元においては分析上、プラス0.75%程度の値となっていますが、2024年以降を見ると、0.75%以上となっているときも多く、企業業績は堅調に推移しています。

 また、日経平均が大幅に下落しているときはどのようなときなのかを、過去をさかのぼって見てみると、青線がマイナスに転じ、ジグザグしながらマイナス幅が拡大していく過程で下落していることが分かります。

シグナル出現でどう動く?日経平均、今後のシナリオ

 グラフ1、グラフ2から今後の日経平均の動きを想定すると、考えられるシナリオは次の三つです。

(シナリオ1)再度上昇へ

 グラフ2の日経平均予想EPS4週前比増減率が、今後平均して1.15%以上のプラスに
 → グラフ1の日経平均予想EPS前年比増減率が右肩上がりに戻る

(シナリオ2)横ばいが継続

 グラフ2の日経平均予想EPS4週前比増減率が、今後平均して1.15%未満のプラスに
 → グラフ1の日経平均予想EPS前年比増減率は横ばい、もしくはゆっくりとした右肩下がりに

(シナリオ3)本格調整へ

 グラフ2の日経平均予想EPS4週前比増減率がマイナス転換
 → グラフ1の日経平均予想EPS前年比増減率は明確な右肩下がりに

 グラフ2における日経平均予想EPS4週前比増減率の6月21日の値はプラス1.36%なので、シナリオ1の「平均して1.15%以上のプラスに」を満たしていることになります。

 しかし、損害保険業界における政策保有株売却方針に伴うアナリスト見通しの上方修正が寄与している分がそれなりに見受けられるので、この影響を除くと、足元はプラス1.15%未満の状態であると見ています。

 足元の状況からは、日経平均予想EPS4週前比増減率が平均して1.15%以上の伸びが続くような気配はなく、マイナスに転じる気配も現時点では感じられないことから、結論ですが、しばらくはシナリオ2の横ばいの可能性が高いのではないでしょうか。

 投資はあくまでも自己責任で。