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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】雇用回復で米利上げ加速の不安高まる。「買い場」の見方変わらず

世界株高を受け、日経平均も急反発

 先週(3月28日~4月1日)の日経平均株価は、1週間で483円下がり、2万7,665円となりました。3週ぶりの下落でした。その前の2週間で、日経平均は3,000円近い急騰を演じており、短期的な上昇の速さに警戒感も出て、売りが増えました。

ナスダック総合、S&P500、日経平均とDAX指数の動き比較:2019年末~2022年4月1日

出所:2019年末を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 昨年10月以降の世界株安の要因となった2つの悪材料(米インフレ&ウクライナ・ショック)に緩和の兆しがあることを受け、世界的に株が急反発し、それを受けて日本株も上昇してきました。ところが先週は、戻り売りが増えて、反落しました。

【1】ウクライナ・ショック緩和

 ウクライナ危機の先行きは不透明で見通せませんが、ロシアが経済的・政治的・軍事的に苦境に立たされているため、停戦合意が近づいているとの期待があり、それが世界的な株の反発に寄与しました。ただし、仮に停戦合意が成立しても、領土問題を棚上げし東ウクライナをロシアが実効支配したままの停戦では株式市場にとって好材料とならない可能性はあります。

【2】米インフレ・ショック緩和

 米国のインフレ率(CPI総合指数前年比%)が2月に7.9%と40年ぶりの高さに達し、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めを急いでいることが、世界の株式市場にとって不安材料となっています。ただし、ウクライナ危機を考慮して3月の利上げは0.5%ではなく0.25%に留めました。それで、引き締めに対する不安はいったん緩和しました。

 米インフレの鎮静化はまだかなり先となりそうです。ただし、原油先物が足元反落したことは、時間がかかってもいずれインフレ率が低下してくるとの期待につながっています。一時1バレル130ドルまで上昇したWTI原油先物は、先週末は99.27ドルまで反落しています。

WTI原油先物(期近):2020年1月2日~2022年4月1日

出所:QUICKより作成