米国株式の「貯めながら増やす積立投資」を検証する

 米国市場は、大中小の株価下落を幾度も経験してきました。株価が下落する局面では、誰もが経済や市場の先行きを不安に感じ「弱気」に陥りやすいものです。ただ、「米国株式は長期投資を続ける辛抱強さに応えてきた」と言えます。

 図表4は、今世紀中で最も株価が下落した「リーマンショック(2008年の金融危機)」の直前に米国株式の積立投資を始めた場合の投資成果を検証したものです。

 具体的には「2007年末からS&P500指数(配当込み/円換算)に3万円ずつ定時定額投資を続けてきたケースの投資成果」を示しています。この場合、積立投資を始めた早々の2008年の金融危機で米国株式は5割も下落しました。

 そうしたなかでも、ドルコスト平均法効果(株価が下落すると購入口数が増加する効果)と複利運用効果(雪だるま効果)で長期的に「累計投資口数」は着実に増加し続けてきました。

 米国市場でS&P500種指数が下落した2月の末時点で、時価資産は約1,829万円と累計投資額(簿価ベースで513万円=3万円×171回)の約3.6倍に膨らんできたことがわかります。

 積立期間中に時価資産が大きく変動する場面はありましたが、その後の株式市場の持ち直しに沿って時価資産(累計投資口数×時価)が増えた市場実績が「長期積立効果」を示しています。

 株式市場に一時的な乱高下はつきもので、その度に逃げる(売ってしまう)のはもったいないと考えています。なぜなら、売ってしまった後に再び買い戻すタイミングを正確に当て続けることは専門家にとってさえ至難の業(わざ)だからです。

 むしろ、株価が下落あるいは波乱含みとなった局面は、「積み増し買いに有利」であったことが多かったのです。米国株式への投資には長期的な視野と時間分散効果を重視して向き合いたいと思います。

<図表4:米国株式の積立投資実績を検証する>

 *上記は参考情報であり、将来の投資成果を保証するものではありません。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2007年末~2022年2月末)

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