地政学リスクの高まりで市場はリスク回避に傾く
ウクライナに対するロシアの軍事圧力で緊張感が高まるにつれ、世界市場でリスクオフ(回避)姿勢が広まり株安となりました。
プーチン大統領は21日、ウクライナ東部の親ロシア派2州(ドネツク、ルガンスク)による独立宣言を承認する大統領令に署名した上で、同地域にロシア軍を派遣するようロシア国防省に命令。プーチン大統領はテレビ演説で「ウクライナはロシア史の不可分の一部で、ウクライナ東部は古代ロシアの領土だった」と述べ、「ロシア国民が今回の決定を支持すると確信している」と語りました。
英国のジョンソン首相は同日、「規模の点では(第2次世界大戦終結の)1945年以来、欧州で最大の戦争になり得る計画を目のあたりにしている」との懸念を表明。実際にロシア軍は24日、ウクライナの軍事施設へのロケット攻撃を開始し、黒海艦隊がウクライナ南部から上陸をしかけるなど軍事侵攻を実施しました。
図表3は、ロシアのCDS(Credit Default Swap)と株価(ロシアMOEX株価指数)の推移を示したものです。ウクライナ情勢の緊迫化を織り込み、ロシアのソブリンリスク(債務不履行リスク)を示すCDSは急上昇し株価は急落しました。
ロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切ったことで、西側欧米諸国は大規模かつ効果的な対ロシア経済・金融制裁を実施することが確実視されており、原油、LNG、穀物の輸出急減に追い込まれるロシアの貿易収支や財政状況の急悪化を織り込んだ動きとみられます。