4つの「投資的支出」

 お金は適切なタイミングで有効に使う事によって、さらに大きなお金を生むことがある。こうした支出を「投資的支出」と呼ぶことにしよう。有効な投資的支出がある場合に、この機会を逃すのは、極めて「もったいない!」。

 では、どのような支出が有効な投資的支出になり得るだろうか。

 大きく、4つのカテゴリーに分かれるように思う。(1)能力、(2)知識・経験、(3)時間、(4)人間関係、の4つだ。

(1)能力への投資的支出

 自分の能力を高めることに貢献する支出が有効であることは、分かりやすい。学校に行く、何らかのスキルを身につける、資格を取るなど、職業人としての自分の能力を高める支出のチャンスには敏感でありたい。

 仕事の能力が高まると人材価値が高まる。この人材価値を使って、時間と共に経済価値を手にするのだと考えると、キャリア・プランニング(職業人生設計)の見通しが良くなる。人材価値は、仕事の「能力」と「実績」、それに今後仕事をすることができる「時間」によって決定されると考えられる(図2)。

(図2)人材価値の概念図

 能力を高める投資としては、自分の仕事上の能力を高めることをサポートする物に対する投資も考えることができる。例えば、仕事や地域によっては、性能の良い自動車に対する投資がこれに当たる場合があるだろうし、パソコンやスマートフォンなどの仕事道具に対する投資にも、自分の仕事上の能力を高める効果がある。

 そして、能力に対する投資は早く行う方が、効果が高い。

(2)知識・経験への投資的支出

 筆者個人は、あまり旅行に積極的ではないのだが(なぜなのだろう? 自分で少々不思議である)、例えば、世界各地を見て回る旅行のような経験は、知識を増やす意味でも、他人に語ることができる経験が増えるという意味でも、有効な投資になり得る。

 世の中には経験してみなければ分からないことが多数ある。良いコンサートや舞台を観ることが経験として役立つこともあるだろうし、美味しい食事やワインなども、実際に口にしてみなければ十分には語れない。

 そして、率直に言うと、語るに足る豊かな経験を持っている人は、他人から見て魅力的な人であり、その魅力が経済価値を生む場合がしばしばある。逆に、語るに足る話題のない人は、つまらない人である。

 経験への支出も、有効な投資的支出になる場合がある。そして、経験への投資も概ね早く行う方が有効だ。