日経平均は決算シーズンの到来を待つ印象

 先週末10月22日(金)の日経平均終値は2万8,804円となり、前週末終値(2万9,068円)からは264円の下落で取引を終えました。

 今週の株式市場ですが、米国ではアップルやアルファベット、フェイスブックのほか、国内でもソニーGやキーエンス、日本電産、ファナックなど、日米で注目企業の決算が続々と予定されていて、いよいよ決算シーズンが本格化します。

 一足先に決算シーズンを迎えている米株市場では、S&P500種指数やNYダウ(ダウ工業株30種平均)が最高値を更新するなど、いまのところ良好な滑り出しとなっています。

 この流れを受けて日本株も上昇基調を強めることができるかが今週の焦点ですが、決算動向をにらみつつ、引き続き、足元で警戒されているインフレや供給網(サプライチェーン)の混乱、中国の景気減速などが業績に与える影響を注視していくことになります。

 それでは、いつもの通り、足元の状況から見ていきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2021年10月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週の前半は前週からの戻り基調が継続し、20日(水)の取引では25日移動平均線を上抜ける場面もありましたが、いわゆる「上値ライン」が上値を抑える格好となり、週末にかけて失速する展開となりました。

 とりわけ、21日(木)は大きな陰線が出現し、25日と200日の2本の移動平均線を下抜ける「2本抜け」となり、下落の加速が警戒されたものの、週末22日(金)に持ち直しを見せたことで、ひとまず落ち着いている格好です。

 この22日(金)のローソク足は上ヒゲの長い陽線となっていますが、上値が25日移動平均線に抑えられ、下値は75日移動平均線がサポートとなり、そして200日移動平均線水準が終値になっているなど、3本の移動平均線の三つ巴のバランスによる「中立地帯」にひとまず株価が位置して、決算シーズンの到来を待っているような印象です。

 そのため、決算の動向によって3本の移動平均線のどの線が値動きの基準となるのかが決定し、仮に相場の地合いが決算を好感するムードになれば、再び25日移動平均線や上値ラインをトライしていくことになります。

 反対に、この25日移動平均線が上値の抵抗として機能してしまうと、線の傾きが下向きになっていることもあり、下落加速への意識が強まってしまう可能性があり、注意が必要です。

 次に、日経平均の株価の上げ下げのリズムについても考えてみます。

■(図2)日経平均(日足)とエリオット波動(2021年10月22日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、前回のレポートにおいて、60分足チャートで紹介したものを日足に直したものです。

 前回のレポートでは、日経平均が年初来安値をつけた8月20日を起点に、9月14日の年初来高値までピンク色の上昇推進の波を描いていましたが、修正の第4波が株価の下げ過ぎによって上昇1波の高値を下回ってしまい、上昇推進の波が崩れ、今度は9月14日の年初来高値を起点としたオレンジ色の下落推進の波を描き始めている可能性について説明しました。

 先週の日経平均は、上昇から失速という値動きをたどったことで、先週末時点では、修正の4波から下落推進の5波に入っていると考えることができます。こうした下落推進のリズムを崩すには、下落1波の安値(2万9,573円)を上回る必要があります。