連続増配銘柄に分散投資する米国上場ETF(VIG)

 前ページで紹介した連続増配で実績のある個別銘柄に投資する以外に、「連続増配銘柄に広く分散投資するETF(上場投信)」に投資する方法もあります。

 米国籍ETFの「バンガード米国増配株ETF」(ティッカーシンボル:VIG)は、米国市場で「10年以上連続増配実績のある大型・中型株で構成されている株価指数」(S&P US Dividend Growers Index)に連動する投資成果を目指して運用されているETFです。

 図表4は、過去10年(2011年以降)における同ETFの取引価格と1年(12カ月)累計実績分配金の推移を示したものです。長期目線で振り返ると、取引価格が上昇してきた一方、分配金も増配基調を辿ってきたことがわかります。

 同ETFの取引価格は現在156ドル台ですから、「比較的少額(約1万7千円程度)から米国の増配株ポートフォリオに投資することができる」と言えるでしょう。なお、同ETFは経費率(信託報酬の年率換算)が0.06%と比較的低い点にも注目です。

図表4: 連続増配ETFのパフォーマンスと1年累計分配金

*上記は米国籍ETF(VIG)の取引価格と分配金実績を示したものです *1年累計分配金=四半期毎に支払われる分配金の12カ月累計実績 出所:Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2011年初-2021年9月22日)

 図表5では、同ETFを構成する上位10銘柄を挙げてみました。マイクロソフト(MSFT)JP モルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)ウォルマート(WMT)ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)ビザ(V)ホーム・デポ(HD)プロクター・アンド・ギャンブル(PG)コムキャスト(CMCSA)オラクル(ORCL)となっています。

 同ETFの取引価格の1年前比騰落率は+25.5%となっており、直近の1年配当実績は約1.8%となっています。運用純資産は約618億ドル(約6兆78,00億円)と比較的大きく、運用コスト(経費率)が低い良質なETFとして相対的に人気を集めていることを示しています。

 長期投資の視野に立った「値上がり」、「配当」、「増配(配当の連続増配)」の3つを期待できるETFとして注目したいと思います。

図表5:連続増配ETFの上位組み入れ銘柄と増配予想

# 銘柄名 株価 年初来
騰落率
配当
利回り
前期
配当
今期
配当
来期
配当
1 マイクロソフト 298.58 34.2 0.8 2.24 2.36 2.56
2 JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 155.91 22.7 2.4 3.60 3.80 4.12
3 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) 163.93 4.2 2.6 3.98 4.18 4.45
4 ウォルマート 142.69 -1.0 1.5 2.16 2.16 2.29
5 ユナイテッドヘルス・グループ 408.70 16.5 1.3 4.83 5.48 6.09
6 ビザ 222.75 1.8 0.6 1.22 1.24 1.35
7 ホーム・デポ 335.93 26.5 2.0 6.00 6.63 7.06
8 プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) 143.60 3.2 2.4 3.24 3.51 3.68
9 コムキャスト 56.02 6.9 1.8 0.92 1.00 1.08
10 オラクル 88.44 36.7 1.4 1.04 1.25 1.34
  上位10銘柄平均 15.18 1.7  
*予想配当(DPS)はBloomberg集計による市場予想平均。単位は、株価と配当はドル、年初来騰落率と配当利回りは%。配当利回りは今期予想。配当は、前期は実績、今期と来期は予想。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年9月22日)

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