連続増配銘柄に分散投資する米国上場ETF(VIG)
前ページで紹介した連続増配で実績のある個別銘柄に投資する以外に、「連続増配銘柄に広く分散投資するETF(上場投信)」に投資する方法もあります。
米国籍ETFの「バンガード米国増配株ETF」(ティッカーシンボル:VIG)は、米国市場で「10年以上連続増配実績のある大型・中型株で構成されている株価指数」(S&P US Dividend Growers Index)に連動する投資成果を目指して運用されているETFです。
図表4は、過去10年(2011年以降)における同ETFの取引価格と1年(12カ月)累計実績分配金の推移を示したものです。長期目線で振り返ると、取引価格が上昇してきた一方、分配金も増配基調を辿ってきたことがわかります。
同ETFの取引価格は現在156ドル台ですから、「比較的少額(約1万7千円程度)から米国の増配株ポートフォリオに投資することができる」と言えるでしょう。なお、同ETFは経費率(信託報酬の年率換算)が0.06%と比較的低い点にも注目です。
図表4: 連続増配ETFのパフォーマンスと1年累計分配金

図表5では、同ETFを構成する上位10銘柄を挙げてみました。マイクロソフト(MSFT)、JP モルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ウォルマート(WMT)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、ビザ(V)、ホーム・デポ(HD)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、コムキャスト(CMCSA)、オラクル(ORCL)となっています。
同ETFの取引価格の1年前比騰落率は+25.5%となっており、直近の1年配当実績は約1.8%となっています。運用純資産は約618億ドル(約6兆78,00億円)と比較的大きく、運用コスト(経費率)が低い良質なETFとして相対的に人気を集めていることを示しています。
長期投資の視野に立った「値上がり」、「配当」、「増配(配当の連続増配)」の3つを期待できるETFとして注目したいと思います。
図表5:連続増配ETFの上位組み入れ銘柄と増配予想
# | 銘柄名 | 株価 | 年初来 騰落率 |
配当 利回り |
前期 配当 |
今期 配当 |
来期 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | マイクロソフト | 298.58 | 34.2 | 0.8 | 2.24 | 2.36 | 2.56 |
2 | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 155.91 | 22.7 | 2.4 | 3.60 | 3.80 | 4.12 |
3 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 163.93 | 4.2 | 2.6 | 3.98 | 4.18 | 4.45 |
4 | ウォルマート | 142.69 | -1.0 | 1.5 | 2.16 | 2.16 | 2.29 |
5 | ユナイテッドヘルス・グループ | 408.70 | 16.5 | 1.3 | 4.83 | 5.48 | 6.09 |
6 | ビザ | 222.75 | 1.8 | 0.6 | 1.22 | 1.24 | 1.35 |
7 | ホーム・デポ | 335.93 | 26.5 | 2.0 | 6.00 | 6.63 | 7.06 |
8 | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 143.60 | 3.2 | 2.4 | 3.24 | 3.51 | 3.68 |
9 | コムキャスト | 56.02 | 6.9 | 1.8 | 0.92 | 1.00 | 1.08 |
10 | オラクル | 88.44 | 36.7 | 1.4 | 1.04 | 1.25 | 1.34 |
上位10銘柄平均 | 15.18 | 1.7 | |||||
*予想配当(DPS)はBloomberg集計による市場予想平均。単位は、株価と配当はドル、年初来騰落率と配当利回りは%。配当利回りは今期予想。配当は、前期は実績、今期と来期は予想。 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年9月22日) |
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