ETFを活用してサイバーセキュリティ業界に分散投資する

 サイバーセキュリティ関連の需要が拡大するなか、米国を中心に世界各国で関連企業への投資機会が注目されています。

 そこで、米国籍ETF(上場投資信託)の中から、サイバーセキュリティ事業の成長と技術的向上の恩恵を享受すると考えられる企業(株式)に分散投資するファンドに注目したいと思います。

 図表3では、2種類の米国籍ETF(HACKとBUG)を一覧にして比較しました。どちらも、サイバー攻撃に対するセキュリティ技術を有した製品・サービスを提供するテクノロジー関連企業に分散投資を行うファンドです。両ファンドとも一口当たり取引価格の「1年前比騰落率」は堅調です。

 HACK(ピュアファンズISEサイバーセキュリティETF)は、比較的多数の銘柄(67銘柄)に分散投資することでリスク軽減を重視し、BUG(グローバルXサイバーセキュリティETF)は比較的限定された銘柄数(34銘柄)に集中投資して高めのリターンを目指している印象があります。

<図表3:サイバーセキュリティの有力ETFはHACKとBUG>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年7月14日)

 どちらのファンドも、独自に選定したベンチマーク(インデックス)に沿った分散投資を実施し、IoT(モノのインターネット化)やクラウド・コンピューティングなどの分野のサイバーセキュリティに関するコンサルティングサービスや製品を提供する企業を投資対象としています。

 BUGを例にとると、クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、ゼットスケーラー(ZS)、フォーティネット(FTNT)、パロアルトネットワークス(PANW)、オクタ(OKTA)、チェックポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ(CHKP)などが上位保有銘柄となっています。

 図表4は、両ETFの取引価格の推移を示したチャートです。サイバーセキュリティ関連銘柄は、IT(デジタル)関連が多いため、短期的に変動が大きくなる場面は多々ありますが、個人や組織にとってのサイバーセキュリティ需要拡大と長期利益成長が見込める点で注目されており、同分野への投資妙味は大きいと考えています。

<図表4:HACKとBUGの取引価格推移を比較してみる>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年初~2021年7月14日)

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年7月9日:米国でグロース株が復活?ナスダックのリベンジ高と「QQQ」に注目
2021年7月2日:資産形成はシンプルに!バフェットもすすめる米国株投資戦略
2021年6月25日:米国株は調整モードを抜け出るか?マクロ金利見通しで占う投資戦略