バリュー株より強いグロース株の業績予想

 バリュー株がグロース株に対する優勢をいつまで続けるかについては見方が分かれています。本年後半、市場が「経済正常化」や「テーパリング(量的緩和縮小)」をいったん織り込み、長期金利の上昇観測が和らぐ場面となれば、高い収益成長が見込まれるハイテク関連を中心にグロース株があらためて注目される可能性もあると考えています。

 図表4は、米国のグロース株指数、S&P500指数、バリュー株指数ベースの12カ月先予想EPS(市場予想平均)の推移を比較したものです。

 グロース株の業績見通しは、バリュー株や市場平均(S&P500)と比較すると相対的に底堅く成長期待が高いことがわかります。バリュー株相場は、コロナ禍で抑圧された景気敏感株の業績回復を織り込む動きと考えられます。

 足元のインフレ懸念や長期金利上昇観測を受け、昨年優勢だったグロース株のポジションをいったん減らす「リバランス」や「スタイルローテーション」とも言われています。年後半の環境変化を見極めながら、「時間軸とバランス」を重視した投資戦略を検討したいと思います。

<図表4:米国市場のグロース株とバリュー株の業績見通し>

*予想EPS=株価指数ベースの12カ月先予想EPS(市場予想平均)
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年初~2021年6月2日)

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