米国株高をけん引している大型主力株をチェック

 年初来の米国市場を例にとり、株高基調(S&P500指数は年初来12.0%上昇)をけん引している個別銘柄をチェックしたいと思います。

 図表2は、米国上場銘柄のなかで時価総額が大きい100社で構成されるS&P100指数の個別銘柄について、「年初来騰落率」の降順(高い順)に一覧したものです。

 上位銘柄としては、フォード、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、シュルンベルジェ、サイモン・プロパティー・グループ、ウェルズ・ファーゴ、エクソンモービル、コノコフィリップス、ゴールドマン・サックス・グループ、GM、バンク・オブ・アメリカがトップ10となっています。

 自動車、金融サービス(銀行や保険)、石油関連など比較的PER(株価収益率)が低い景気敏感株が多く含まれ、コロナ収束に伴う経済の正常化で業績回復が見込まれるバリュー銘柄が相場をリードしていることがわかります。

<図表2:米国株高をけん引する主力銘柄を年初来騰落率でランキング>

*S&P100指数を構成する銘柄のなかから年初来騰落率(降順)で示したもの
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年6月2日)

 上記一覧には、予想PERが約25倍であるアルファベット(グーグルの持ち株会社)が年初来+38.2%で13位に入っており、バリュー(景気敏感)株のみが株高基調をけん引しているわけではありません。

 また、業績見通しが改善しないバリュー株は、一時的に買い戻された後に値を崩す可能性もあります。「アフターコロナ」を先取りして買われたバリュー株でも、決算発表やガイダンス(業績見通し)が市場の期待にそぐわなければ、株価上昇でバリュエーション面が苦しくなり、物色の流れから外れるリスクもあります。