働き手が増える米国。ドルは強くなるか

 図表4は、主要国の「生産年齢人口」(15才~64才の人口)の長期実績と2050年までの予想を示したものです(国連の調査・予測)。日本では、少子高齢化の進展と総人口減少を背景に「生産年齢人口」は1995年ごろから減少に転じ、2030年や2050年には「働き手」が一段と減少する見込みです。

 一方の米国では、移民流入効果と比較的高い出生率で生産年齢人口は2050年まで増加し続けると予想されています。こうした「労働人口」の成長格差は、経済成長や株式市場の行方だけでなく、為替相場のすう勢にも影響を与える可能性があります。

 米国の総人口と生産年齢人口は、主要先進国のなかでも特異な安定成長を続ける見込みで、総人口(現在:約3.3億人)は2050年までに3.8億人に増加していくとの見通しもあります。

 貧富の格差(所得や資産の格差)は改善すべき課題ですが、ヒスパニックなど有色人種を中心に総人口と働き手が増え続ける米国の通貨(ドル)が円に対して強さを維持する可能性があります。

 株式市場と通貨リスクの分散を意識し、米国株式を中心とする国際分散投資を実践していきたいと考えています。

<図表4:生産年齢人口の動向にも「日米格差」あり>

(出所)国連調査より楽天証券経済研究所作成

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