リスクと向き合うなら?「グローバル分散投資」の本質

 資産形成や投資には「グローバルな視点」が重要であると思います。また、リスク(リターンのブレ)を乗り越える長期投資に果実(リターン)がもたらされると考えています。

 特に定時定額投資(積立投資)では、株価が下落した場面で効果が発揮される「ドルコスト平均法」の意義に注目したいと思います。

 こうした観点で、リスクは高くてもリターンが高そうな投資対象(市場)への分散投資を検討したいと思います。将来のリスクやリターンを正確に予見することは不可能です。投資の世界では長期市場実績にもとづくリスクやリターンを参考にします。

 図表3は、過去30年にわたる米国株式(S&P500指数とナスダック100指数)、外国株式(日本を除く世界株式)、日本株式(TOPIX)のリターン(年率平均)とリスク(標準偏差)を数値化して示したものです。

 S&P500指数(円)のリターンは8.1%(配当を含まない年率平均)で、リスク(標準偏差)は18.3%。ナスダック100指数(円)のリターンは15.6%でリスクは26.5%でした。

 一方、日本株式のリスクは19.1%と高かったのにリターンが低かった(0.1%)ことがわかります。R/R(リターン÷リスク=リスク単位当たりリターン)を分析すると、米国株式を「コア」に据えたグローバル分散投資の効果や意義がイメージできると思います。

<図表3>リターンとリスクのバランスを考える

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1990年初~2020年10月末)

 米国市場では、ナスダック100指数に米国のイノベーション(技術革新)や株式時価総額の成長をけん引する銘柄群が多いことが知られています。GAFAMに加え、今年はエヌビディア、テスラ、アドビ、ペイパルホールディングス、ネットフリックスなどが時価総額を増加させています。

 今後はIT(デジタル)分野に加え、バイオテクノロジー分野の銘柄群も時価総額ウエイトを増やしていくと期待されています。

 こうしたナスダック100指数に連動した投資成果を目指すインデックスファンドとしては、東証上場ETF(上場投信)の「NEXT FUNDS NASDAQ100連動型上場投信」(コード:1545/運用は野村アセットマネジメント)、米国上場ETF(米国籍ETF/ドル建て)の「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」(ティッカー:QQQ/運用は米国インベスコ)などがあります。

 また、国内の追加型投資信託として「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」(運用は大和アセットマネジメント)もあります。

 長期的な資産形成を実践するにあたっては、長期の視野に立った「グローバル分散投資」を意識したいと思います。

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