バイデン氏の副大統領候補…「ハリス旋風」の影響は?

 こうしたなか、バイデン候補は「ランニングメイト(副大統領候補)」に黒人女性のカマラ・ハリス上院議員(55歳)を起用すると発表しました(11日)。

 ハリス氏の父親はジャマイカ系、母親はインド系移民です。カリフォルニア州で検察官や司法長官を務めた後、同州の上院議員に選出。昨年の民主党・大統領候補指名争いに名乗りを上げ「女性版オバマ」(中道派)と有力視されました。

 ハリス氏は昨年末の大統領候補者討論会でバイデン氏の上院議員時代の政治姿勢を批判した経緯があり、「バイデン氏はハリス氏を副大統領候補に指名する寛容さを示せるか」も注目されていました。

 ハリス氏は「有色人女性で初の女性副大統領」、「次の民主党大統領候補」をアピールする資質を備え、バイデン氏は「(ハリス氏は)恐れを知らない闘士で、米国における最良の公僕の一人だ」と称賛しました。

 5月25日に発生した黒人男性死亡を発端としたBLM運動が広まるなか、民主党内では多様性を訴求し、人種対立を融和する効果を見込み「非白人女性の副大統領候補起用」に期待が高まっていました。高齢(77才)を指摘されるバイデン候補を支える「カマラ旋風」の投票行動への影響が注目されます。

 トランプ大統領は今回の決定にやや動揺。ツイッターで「いかさまハリス」とつぶやくほど「強敵」と感じたようです。図表4では、大統領選挙同日に実施される上院議会・下院議会選挙に関する予想確率の推移です。

 コロナ禍とトランプ劣勢の影響で、「民主党が下院選挙だけでなく上院選挙でも勝利する(議席の過半を得る)」と見込まれています。米中対立の緊張リスクに加え、今秋の米国市場は「ポスト・トランプ(民主党政権誕生)」を巡る不確実性に直面して乱高下する可能性があり警戒したいと思います。

<図表4>議会選挙結果を巡る予想確率で民主党が優勢

(出所)PredictItより楽天証券経済研究所作成(2020年4月初~8月12日)

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