DXの普及加速。ナスダックの押し目は狙うべき?

 米国で時価総額が増加してきた大手ハイテク企業(GAFAMなど)は、コロナ危機とロックダウンを乗り越えただけでなく、ビジネス上の観点で自らの優位性を鮮明にしてきた感があります。3月以降の「過剰流動性」(金融当局や政府による巨額資金供与)がナスダック主力銘柄のバリュエーション評価(予想PERや予想PBR)を高める役割を果たしてきたことも株高要因です。

 米国市場では、これら大手ハイテク銘柄群が「グロース株優位」をけん引してきたと言っても過言ではありません。

 米国や世界の投資家は、ナスダック主力株の事業規模、強固なバランスシート、高い収益性(高ROE)、成長期待を備える投資対象としてマネー(投資資金)が向かいやすくなっています。

 特に、コロナ禍で進む「移動・対面の自粛時代」に応じたDX(デジタル・トランスフォーメーション)の普及加速が追い風となっています。実際、ナスダック100指数ベースのEPSは、2019年の最高益(実績)に続き、2020年も前年比増益、2021年、2022年も増益を続け最高益を更新する見通しとなっています(図表4)。

 ナスダック100指数には、最近時価総額を急増させているテスラ(TSLA)、ペイパル・ホールディングス(PYPL)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)なども含まれています。

 ナスダック主力銘柄も2~3月時は株価急落に見舞われました。その後、業績見通しの底堅さと成長期待の高まりが再び投資家マネーを引き付けてきました。ナスダック総合指数もナスダック100指数も7月は最高値を更新しましたが、相場に「楽観からの揺り戻し」や「スピード調整」はつきものです。

 特にグロース株には「行き過ぎ感」や「懐疑論」が復活しやすく、モメンタム(勢い)の反動が表面化しやすい特徴があります。

 重要な点は、ナスダック100指数が新陳代謝を繰り返しながら市場平均(S&P500指数)を長期の視点で上回ってきたことです。リスク(リターンのブレ)が高くとも、リスク許容度の高い投資家に優れたリターンを提供してきた市場実績に注目したいと考えています。

 米国市場では、感染拡大と経済的影響の行方、大統領選挙の動向、米中対立激化の行方などのリスク要因に注意しつつ、市場センチメント悪化で下落したナスダック100指数の押し目に投資機会を見出したいと思います。

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