「連続増配セレクション」(7銘柄分散投資)の優勢に注目

 こうしたなか、2020年1月17日の本レポート「GAFAM相場は続く?国内の連続増配株にも注目!」でご紹介した国内の「連続増配セレクション」(7銘柄分散投資)に注目いただきたいと思います。コロナ危機を起因とする不況(景気後退)、予想インフレ率低下、低金利環境の長期化をにらみ、「株主還元を意識した経営」を実践している企業への市場の評価が高まっています。

 図表2は、東証上場銘柄のなかで知名度が比較的高く、景気停滞下でも安定的な利益成長が期待できる「連続増配セレクション」の株価平均パフォーマンスを検証し、TOPIX(市場平均)と比較したものです(2013年初=100)。本ポートフォリオの特徴としては、景気サイクル(変動)や為替変動など外部環境変化から比較的影響を受けにくい「ディフェンシブ銘柄(安定成長株)」が多いことが挙げられます。

 2013年初を起点とすると、連続増配セレクションの平均パフォーマンスは+260.7%で、TOPIX(+63.6%)の約4倍に及びます。2月から3月にかけての「コロナ危機」では株式相場の総崩れで下落。しかし、4月に入ってからは下げ幅の約9割を取り戻す堅調がみてとれます。長期にわたる連続増配実績に対する市場の評価が寄与したものと考えられます。

 実際の投資総収益は、こうしたキャピタルゲイン(値上がり益)に、毎年(毎期)増加してきたインカムゲイン(毎年増えてきた配当金)を上乗せしたものになります。

<図表2>「連続増配セレクション」の平均パフォーマンスを振り返る

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2013年初~2020年4月22日)

 図表3は、連続増配セレクションを構成する7銘柄それぞれのパフォーマンスや配当情報を一覧したものです。ポートフォリオ投資(等金額分散投資)を想定した場合、全7銘柄の「1年前比騰落率」や「5年総収益年率(配当込み)」の算術平均は、TOPIX(市場平均)より優勢だったことがわかります。

 予想平均配当利回りは約1.9%と市場平均(2.8%)を下回っていますが、増配を重視する経営が続くと仮定すれば、株価が変わらずとも「予想配当利回りは徐々に上昇する」ことが期待できます。

 コロナ危機を含め、株式市場は今後も様々なリスクに直面し乱高下する可能性があります。そうした場面では、株式投資の原点とされる「配当の安定的な成長(連続増配)」に重点を置いた銘柄選定に注目したいと思います。

<図表3>連続増配銘柄ごとにパフォーマンスを比較してみる

コード 銘柄名 連続
増配
年数
1年前比
騰落率
5年
総収益
年率
予想
配当
予想
配当
利回り
4452 花王 30 7.4 9.2 140.00 1.6
4967 小林製薬 21 14.4 21.5 74.50 0.7
8593 三菱UFJリース 21 -12.3 -3.0 25.15 5.1
9433 KDDI 18 27.5 4.7 114.17 3.6
8113 ユニ・チャーム 18 10.7 5.8 31.94 0.8
6869 シスメックス 18 16.7 2.3 71.91 1.0
9843 ニトリホールディングス 16 21.3 13.6 117.46 0.7
連続増配7銘柄の算術平均 12.2 7.7 1.9
TOPIX (東証株価指数) -13.3 -0.6 39.81 2.8
*【単位】1年前比騰落率:% 5年総収益年率:% 予想配当:円 予想配当利回り:%
*上記は参考情報であり特定銘柄への投資を推奨するものではありません。
*予想配当=Bloomberg集計による市場予想平均
出所:Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2020年4月22日)