今週の見通し

 先述の通り、先週、日米の主要株価指数の上昇が目立ったことから、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という大きな懸念に対し、状況が改善する期待が浮上したとみられます。

 総悲観が一巡したのかどうかの判断については、前回この欄で書いた通り、現金を手元に引く目的のドル買い、資金の逃避を目的とした金買い、悲観的なムードがきっかけで起きる主要株価指数の売りが、いずれも反転することだと考えています。

 つまり、総悲観が一巡したかどうかは、ジャンル横断騰落率ランキングにおいて、変動率の大小はあれども、ドル下落金下落主要株価指数上昇、の3つの条件がそろうことがその条件と言えると思います。

 ドルの動向で言えば、先週はドル/スイスや、ドル/カナダドルが下落(豪ドル/ドル、ポンド/ドル、ユーロ/ドルが上昇)したため、ドルについては全般的には下落傾向にあったと言えます。主要株価指数の動向は、日米の株価指数に加え中国の上海総合指数も上昇し、上昇が目立っていました。

 残るはですが、金は先週、上昇しました。ドルの下落が要因で上昇した(代替通貨として買われた)面もあると思いますが、一時1,750ドルに達する大幅上昇を見せるなど、騰勢を強めており、代替通貨以外の上昇要因、新型コロナウイルスの感染拡大が醸し出す有事ムードもまた、上昇要因として作用している可能性があります。

 金の上昇要因の一部が新型コロナウイルスの感染拡大が醸し出す有事ムードなのであれば、まだまだ、その有事は終わっておらず、むしろ進行中と言えることから、総悲観が一巡したとは言えません。

 トランプ米大統領が、新型コロナウイルスの感染拡大により“厳しい2週間になる”と発言したのが4月1日(水)で、まだ、2週間は経過しておりません。足元の米国の感染者および死者数の推移は、トランプ大統領が言う“厳しさ”を物語っています。

 米国の同ウイルスに感染したことによる死亡者数は、4月6日(月)時点で1万783人でしたが、12日(日)時点で2万602人です。6日間でおよそ1万人増加し、2倍になったわけです。このような米国の非常に厳しい状況から、総悲観が一巡したとは言えないと思います。

 こうした感染状況に関するデータに加え、経済指標の内容が悪化を示せばなおのこと、総悲観が一巡することから遠ざかります。引き続き今週も、主要国で、新型コロナウイルスの感染が世界規模になった2月、パンデミック化した3月の経済動向に関わる経済指標が公表されます。

 4月14日(火)に中国の3月の貿易収支、15日(水)に米国の3月の小売売上高鉱工業生産、16日(木)にユーロ圏の2月の鉱工業生産米国の3月の住宅着工件数、17日(金)は中国の3月の小売売上高、そしていよいよ中国の1-3月期のGDPが公表されます。

 今週公表される主要国の経済指標、特に中国の小売売上高(2月)やGDP(1-3月期)などが予想を大きく超えた悪い内容だった場合、3月上旬に起きたような“総悲観”が再び起こる可能性がある点に、注意が必要です。

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