一目でわかる米国の景気拡大・縮小シグナル

 4月7日のブルームバーグの報道によると、JPモルガンのストラテジスト達(ミスラフ・マテイカ、プラバブ・バダニ、ニティア・サルダナ)は、

「自然災害など一時的な出来事の後には通常V字回復が見られるが、今回は漸進的なペースでしか米国経済は底を脱することはないとみている。テクニカルな面で売られ過ぎている水準や日ごとに膨れあがる政策支援という材料だけを見て株式に買いを入れようとするのは重大な点を見逃している恐れがある。

 つまり消費者と労働市場が11年ぶりの下降局面にあるということだ。テクニカルな面で売られ過ぎている水準や日ごとに膨れあがる政策支援という材料だけを見て株式に買いを入れようとするのは重大な点を見逃している恐れがある。つまり消費者と労働市場が11年ぶりの下降局面にあるということだ」(米国株、新型コロナ危機では逃避先にならない可能性-JPモルガン)

 と分析したという。

 以下のチャートは、筆者が使っている「一目でわかる米国の景気拡大・縮小シグナル」で、米国の失業率のデータから、米国の景気拡大期と縮小期のシグナルを発生させている。

米国の失業率と景気後退シグナルとNYダウの推移
上段:NYダウ(緑)・米国の失業率(青)
下段:サイドバー 赤:景気拡大期 青:景気縮小期

出所:石原順

 米国の景気拡大期と縮小期のシグナルにNYダウ平均株価のチャートをプロットしたのが、上のチャートである。

 基本的に、個人投資家は無理をせず、景気拡大期間(サイドバーの赤の期間)だけ、株のインデックスを買っていればよいのではないだろうか。景気縮小期は相場の暴落に巻き込まれる確率が高くなるからだ。

 今月、上のチャートの下段のサイドバーが赤から青に転換した。これから、米国経済は景気後退期に入る。チャートのサイドバーが赤から青に転換すると相場の大きな下げに注意が必要となる。

 株は買いから入る投資家が圧倒的に多い。しかし、個人投資家は危ないときに無理をして中長期タームの投資をすべきでないだろう。ここからしばらくは、トレーディングベースの短期売買でしのぐ時期に入る。