CME日経平均先物(6月限)が急反発

 先週、1つ不思議なことがありました。NYダウ急落が続く中、19~20日、日経平均先物が急反発したことです。日本が祭日だった20日、CME(シカゴ)日経平均先物(6月限)の終値は1万7,030円となりました。先週末(19日)の日経平均終値(1万6,552円)よりも478円高い水準です。CME日経平均先物は一時1万7,845円まで上昇しましたが、20日のNYダウ急落を受けて、上げ幅を縮小して1万7,030円で引けたのです。

 日経平均先物を大慌てで買い戻しているのが、どういう資金か分かりません。ただ、売りばかりで一方通行だった先物取引で、買い戻しを考える資金が出始めている可能性もあることが分かります。

 コロナショックが起きてからの下落率を日米中で比較すると、NYダウが一番大きく下がっていることが分かります。ただし、もう少し長い期間で比較すると、違った構図が見えます。以下は、まだ「世界まるごと好景気」と言って良い状態だった2018年初からの比較です。これで見ると、一番下がっているのは日経平均です。NYダウは急落してようやく上海総合より下げが大きくなったところです。

NYダウ・日経平均・上海総合指数の値動き比較:2017年末~2020年3月20日(日経平均は3月19日まで)

注:2017年末の値を100として指数化

 2018年からの世界経済を簡単に振り返ります。2018年は年末にかけて、米中貿易戦争の影響を受けて、世界景気が急減速しました。ただし、米景気は好調でした。貿易戦争のマイナス影響が製造業に集中したからです。

 米国では製造業空洞化が早くから進み、米経済はIT・ヘルスケアなどサービス産業に支えられていたので、好調が持続しました。米中貿易戦争の影響は、中国に重く、ついでマイナス影響が大きかったのは、日本・ドイツなどでした。

 2018~2019年の日米中の株価推移は、そうした景況の差を映しています。上海総合が一番大きく下がり、ついで日経平均が大きく下がっていました。NYダウは、相対的に堅調で、2019年後半には過去最高値を更新していました。

 情勢が急に変わったのが、2020年に入ってからです。コロナショックで、中国経済はさらに落ち込みました。ところが、強大な国家権力を使った感染封じ込めが成功し、今、少しずつ経済が正常化する兆しが出つつあります。

 一方、米国および欧州経済は、コロナショックで、一気に奈落の底に落とされたイメージです。2020年の株価反応は、こうした情勢変化を如実に表しています。

 ここで注目していただきたいのは、日経平均です。2018年来で、最も下落率が高くなっています。外国人の先物売りで急落が続き、もっとも大きく下がっています。

 東証一部のPBRが約0.9倍と、解散価値の1倍を割り込んでいること、投機筋の先物売りが高水準に積み上がっている【注】ことを考えると、NYダウ急落が続いても、そろそろ日経平均先物には一部買い戻しが入る可能性もあります。

【注】日経平均先物に投機筋の売りポジションが積み上がっていることについては、以下のレポートで解説しています。
3月18日:日本株の買戻しいつ?裁定売り残は1.7兆円に増加。投機筋の日経平均先物「売り建て」積み上がる