何でもありの経済対策が始動。米国は財政発動を220兆円に拡大する方針

 リーマン・ショックで凍結した世界経済を、回復に向かわせたきっかけは何だったでしょう。2つあります。1つは米FRB(連邦準備制度理事会)が始めたQE1(量的金融緩和第1弾)、もう1つは、中国が始めた巨額(4兆元)の公共投資でした。米国の思い切った金融政策、中国の巨額の財政政策が、経済を好転させるきっかけとなりました。

 今回のコロナショックでは、何でもありの巨額の経済対策が既に始動しています。米FRBは既に緊急利下げで金利をゼロまで引き下げ、量的緩和も再開しています。されに、米政府は21日、新型コロナ対策として「GDPの10%程度に相当する」2兆ドル(約220兆円)の財政出動を検討すると発表しました。欧州でも同様に、金融政策と財政政策が動き出します。日本でも、日銀が日本株ETFの買い取りを年6兆円から12兆円に倍増させた他、財政出動が検討されています。

 いくら経済対策を打っても、現金を配っても、コロナショックで人の動きが制約されていると、消費は増えません。もう少し、人の動きが自由になってから、経済政策を実施しないと、効果は限られます。

 ただし、いつになるか分かりませんが、新型コロナショックが終息に向かえば、今世界中でやり始めた巨額の経済政策が、急に効き始める可能性もあります。そうなると、経済対策のやり過ぎで、一時的に世界景気が過熱するリスクもあります。今、それを考えるのは、時期尚早かもしれません。ただ、人類が新型コロナを克服する日はいつか来ることを考え、その後に起こることも、考えているべきと思います。