足元の、新型コロナウイルスとコモディティ市場の全体像を確認
新型コロナウイルスが中国国外に拡大し始めた2月3週目から、その拡大が顕著になった同4週目に移った際に、どのようなことが起きたのかを確認します。
図:2月3週目と4週目の新型コロナウイルスをめぐる環境の変化
上図、そして、以前の「[緊急レポート]金、パラジウム、大幅上昇!新型肺炎、欧米へ“2つの飛び火”」でも述べたのですが、2月3週目は、世界全体への新型コロナウイルスの波及が始まった週でした。波及したというよりは、波及が始まったという表現が正しいと思います。
先週は、米国では、一部の州が日本の交換留学生の受け入れを拒否した、初めて新型コロナウイルスによる死者が出たことを受けて一部の国・地域への渡航履歴がある人の入国、および一部の国・地域への渡航を禁じました。徐々に、アジアと地球のほぼ反対側にある米国で、感染が拡大し始めたわけです。
欧州ではイタリアを中心に感染者が増加傾向にあり、米国でも上記のとおり、となれば、株式、通貨、コモディティ(商品)などの、各ジャンルの中心的な存在である欧米市場で懸念が強まり、世界全体に懸念が波及していると言えます。
中国以外の国・地域での感染者の増加は始まったばかりで、現在も進行中であることから、各種市場は、まだしばらく、新型コロナウイルスの世界規模の拡大による、マイナスの影響を受け続ける可能性があると筆者は考えています。
以下は、筆者が考える、新型コロナウイルスの世界的な拡大と、先週下落した金および原油相場の関係です。
図:足元の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と金・原油相場の関係
特に金においては、以下のとおりリーマン・ショック(2008年9月)の発生から数カ月後に、同ショック発生直前の価格を下回る水準まで急落した状況に似ています。未曾有のリスクが発生した際、金とて、売られることがあることを、今回もわたしたちは目の当たりにしたわけです。
図:リーマン・ショック前後のNY金価格の推移(中心限月、日足、終値) 単位:ドル/トロイオンス
図:足元のNY金価格の推移(中心限月 日足 終値) 単位:ドル/トロイオンス