新型コロナウイルスの感染拡大で、今週開催予定のOPEC総会が開催されないリスクがある!?

 新型コロナウイルスが中国以外に拡大し始め、イランやイラク、UAEなどの中東の産油国、メキシコ、アゼルバイジャンなどの非OPECの産油国などでも感染者が増加してきています。

 このため、3月5日(木)・6日(金)に開催が予定されている第178回OPEC(石油輸出国機構)総会、第8回OPEC・非OPEC閣僚会議が、世界的にイベントを自粛するムードが強まる中、開催されないなどのリスクが生じているとみられます。

 OPECプラス(石油輸出国機構=OPECと、非加盟国で構成される組織)は現在23カ国で構成されていますが、WHOのデータによれば3月1日時点で、23カ国のうち12カ国で感染者が出ています。特にイランの感染者数の増加が目立っており、死亡者も出ています。また、会合が行われるオーストリアでも感染者が出ています。

 以下のグラフは、OPECプラスのうち、OPEC(13カ国)・非OPEC(10カ国)それぞれの、感染者の前日比を示したものです。

図:OPECプラス23カ国における新型コロナウイルスの感染者の推移(前日比) 単位:人

出所:WHOのデータをもとに筆者作成

 世界全体の感染者数に比べれば規模的には大きくはありませんが、感染者が発生・存在することで不安が生じます。この不安が、総会に、以下のような具体的な影響を与える可能性があります。

【1】総会は延期あるいは中止?

 OPECプラスの一部の国々で構成されるJTC(共同技術委員会)が今年2月4日から6日に行われ、日量60万バレル程度の追加減産実施をOPEC総会に勧告することと決定しています。

 ただ、この内容で実施をするかどうかは、OPEC総会で決定されます。このため、OPEC総会が延期あるいは中止になれば、減産強化のタイミングを逸するあるいは後ずらしにすることになり、原油市場にとってはマイナス要因となります。

【2】開催されたとしても囲み取材や記者会見はなくなる?

 OPEC総会では、多数の記者による囲み取材が名物と言われています。“囲み”の字のとおり、濃厚接触状態になります。

 また、総会後の記者会見は、会議場に記者たちがおおよそ100人程度(それ以上か?)が集まって行われています。この時間帯も、OPECプラスの要人も記者も、感染の可能性が高まります。

 総会が行われたとしても、囲み取材や記者会見の中止となれば、総会で話し合われたことの詳細が報じられず、情報の透明性が低下する、ひいては総会での決定内容や減産の効果に疑問が生じることとなり、原油市場にとってはマイナス要因といえます。

 新型コロナウイルスは、OPECプラスの会合にも具体的でインパクトの大きいマイナスの影響を及ぼす可能性がある点に、注意する必要があります。