ジャブジャブの金融市場

 金融市場はジャブジャブだ。連邦準備銀行が金利抑制にあらゆる策を総動員して越年資金53兆円を供給することがすでに決定している。連銀が今後30日間で合計5,000億ドルを投じることによって、2020年1月14日までに連銀のポートフォリオは史上最高の4.5兆ドルを超えることになる。

 ステルスQE4(量的緩和第4弾)と呼ばれる量的緩和策によって、米国の景気は延命しそうだ。多くの人は経済(景気)が悪くなったら、株が下がると思っている。しかし、それは逆である。株が下がるから景気が悪くなるのである。資産価格の下落が、景気や産業に影響を与えていくのだ。そして、今の経済は「株がすべて」である。これを一番よくわかっているのは中央銀行だろう。2019年相場も中央銀行が相場の主役だった。

連銀のポートフォリオは1月14日までに4.066兆ドルの史上最高を上回る

出所:ゼロヘッジ

 人為的な両建て経済運営(資産と負債を両方膨らますポンジスキーム)によって、米国の景気が延命するからといって、手放しで喜べる環境にはない。米国株と債券の時価総額の対名目GDP(国内総生産)比は説明のつかないバブルの領域まで上昇している。景気拡大が中央銀行によって人為的に延長されるということは、景気が延長すればするほど将来的にその反動は大きくなる。

米国株・債券時価総額の対名目GDP比

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

 以下は債券王ジェフリー・ガンドラックの発言だ。われわれが今みているのは、成長の幻想なのかもしれない。

「2018年、米国の名目GDP成長率が国債発行残高の増加率を下回った。つまり、成長が全くなかったことになる。米国人がみているのは成長の幻想だ。つまるところIOU(アイ・オウ・ユー借用証書)を発行して、それを使った数字を成長とうたっているにすぎない。しかし、歳出は決して成長ではないのだ」

ジェフリー・ガンドラック