アラムコIPO、サウジ国内市場での最終売り出し価格発表日とOPEC総会は同日

 12月5日(木)の第177回OPEC(石油輸出国機構)総会、翌6日(金)のOPEC・非OPEC閣僚会議まで3週間を切りました。OPECプラス(OPECとロシアなどの非OPEC諸国。11月時点で合計24カ国)によって行われている協調減産は、来年3月で終了する予定ですが、この協調減産を4月以降も継続するかどうかについて協議されます。

 前々回の「[原油劇場]大混戦。交錯する3つの伏線を読み解き、減産延長の行方を追え!」で、これらの会合での決定事項に関する筆者の考えを述べました。

 筆者は、減産期間の延長については、延長はするが、その決定は来年の臨時総会に持ち越される(12月の総会では臨時総会を開催することを決定)、削減幅の強化については、“駆け込み増産”の程度次第、と考えています。

 また、11月17日時点で、会合の詳細なスケジュール(記者会見やクローズドセッションなどの時刻)が公表されていません。

 今度の総会で4月以降の協調減産をどのようにするのかを決定するにあたり、現在鋭意、事前の調整が行われているとみられますが、今年6月25、26日に予定されていた会合の日程が、事前の調整が難航したことにより7月1日に延期になったことを考えれば、12月5、6日の会合も延期になる可能性がまったくないとは言えません。

 ただ、今回の会合については、延期の可能性は高くはないと筆者は考えています。サウジの国内市場(タダウル市場)でのIPO(新規株式公開)を行うとされている世界最大の石油会社サウジアラムコが、最終的な売り出し価格をOPEC総会と同じ日の12月5日(木)に発表するとしています。

 12月中にタダウル市場に上場することを目指しているアラムコは、すでに昨日(11月17日)、目論見書を更新し、IPOの購入希望の受け付けを開始し、最終的な売り出し価格の公表に向けたプロセスを開始しています。

 売り出し価格の発表と、アラムコの資産価値を評価する上で最も重要な要素の原油相場に大きな影響を与え得るOPEC総会が同じ日に行われることが意図されたものと考えれば、アラムコの最終的な売り出し価格の公表が延期にならない限り、OPEC総会も延期にならないと言えそうです。

 再来週の木、金曜日に向け、関連する要人の発言で思惑が強まりやすくなるとみられ、原油相場も短期的な上下を繰り返すことが予想されます。

図:WTI原油先物価格(期近、日足、終値) 

単位:ドル/バレル
出所:CME(シカゴマーカンタイル取引所)のデータをもとに筆者作成