FRBはバブル延命のために「短期金利の温存と長期金利の低下」を画策!?

「FRBが将来ツイストオペや長期金利の釘付け政策をやるのではないか?」という観測が出ているように、米当局には「利下げのバッファーを温存しながらバブルを延命したい」という思惑があるようだ。米当局が意図的に長期金利を下げる方向に動いているという噂から、米国の長期金利は大きく下落している。「米国の逆イールドは当局の操作によるもので、不景気の兆候ではない」という報道も多い。いずれにせよ、長期金利の低下により、ジャンク債市場や不動産市場はバブル状況を維持している。

米国の社債はGDPの46%を超えて過去最高を記録

HYGジャンク債ETF(日足)

出所:石原順

 米国が現在目指している政策は、「短期金利の上昇+長期金利の低下」なのかも知れない。「強いドル」とは結果の話であって、「短期金利の上昇と長期金利の低下」こそが、実は米国の国益なのだ。短期金利を高くして世界から資本を呼び込み、長期金利を低くして、集めた資本を民間に回す(住宅や設備投資を活発化させ景気を維持していく)ことで、バブルの延命を目指している可能性がある。

 米国の財政は金利が上昇すると赤字が増える構造となっているが、これが現在、実にうまくコントロールされている。現在のような国防費の増大と減税路線という積極財政が維持されているのは、不足分が米国債発行で補われているからだが、国債発行枠内でそれを可能にしているのは、長期金利が低いからなのだ。

 2019年に入って、米長期金利とS&P500の動きが逆相関になっているが、FRBの思惑通り長期金利の低下が債券や住宅のバブルを温存し株高を促していくのかどうか、相場は今、正念場を迎えていると言えよう。

2018年以降の米長期金利とS&P500の推移

出所:石原順