NYダウは三尊天井パターン? 米国の自作自演相場もそろそろ一服か?

 2月の中旬からラジオやレポートで「NYダウは三尊天井パターンか?」という疑念を指摘してきた。企業業績や景気指標が悪化しているのに、米国株は過去9週間、PKO(プライス・キーピング・オペレーション)と自社株買いだけで上げてきた。

 ムニューシン財務長官は、12月23日にBank of America、Citi、Goldman Sachs、JP Morgan Chase、Morgan Stanley、Wells Fargoの最高経営責任者に電話をかけた。そして、<大統領の金融市場作業部会>を招集した。これは、リーマンショック(金融危機)時の2009年以来の招集である。

 金融市場作業部会はレーガン大統領が1987年の大幅株安を受けて設立した組織で、株価のPKO部隊である。金融当局者間の情報共有を踏まえ、当局の対応を市場に伝えて混乱を沈静化する役割がある。

 3月の米国株市場はPKOと自社株買い相場がまだ延命するのか、持続不可能になるかの瀬戸際相場になりそうだ。仮にNYダウが三尊天井パターンならば、12月末からの上昇はあと2週間以内に終了となるだろう。

NYダウ(日足)と12月4日に召集された大統領の金融作業部会=「プランジ・プロテクション・チーム」(市場の急落を阻止するチーム)の動き

PKOと自社株買いで9週間上昇した米国株市場 

出所:石原順

NYダウ(週足) 三尊天井パターンか? 

出所:石原順

 米国はこれからリセッションに入ると思われる。イエレン前FRB議長が最も重視していたU6の失業率は既に反転しているからだ。

U-6 unemployment rate(U-6失業率)

 米労働省(DOL)が発表する6種類の失業率のうち最も広義のもののことで、ILO(国際労働機関)が定める全世界共通の失業率指標(U3失業率)における失業者に、「part-time workers(正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人)」、「marginally attached workers(縁辺労働者:現在は職を探していないが以前就職活動し働く用意のある人)」、「discourage workers(職探しを完全に諦めた人)」等を加えた広義の失業者の16歳以上の労働可能総人口数に占める割合で表され、失業をより広く全体的に捉えることができる。

出所:ゼロヘッジ

 株式市場が上げ止まれば、自作自演のバブル部分をそぎ落とす下落が到来するだろう。自作自演相場はこの3月に大きな転換点を迎えると思われる。

 陰鬱博士マーク・ファーバーは「エコノミストもファンドマネージャーも当局が介入するほど良い政策であると常に考えている。財政・金融政策によるあらゆる実験と介入に、過誤がある可能性、副作用がある可能性、さらなる介入で過誤を招く可能性があることを、つい忘れしまう。この教訓を旧ソ連や毛沢東時代の中国にあった中央計画当局から学んでいるはずなのに…。

 経済政策の決定権者はまずは市場と資本主義制度に危害を加えないことからというお題目を何度も唱えているにもかかわらず、ほとんど何も処置をしないこと、ましてや何もしないことに抵抗を感じてしまう。さらなる量的緩和・政府の消費景気・公的資金援助・新しい規制・移転支出・マイナス金利によるあからさまな富の没収をしたいという気持ちを抑えがたいのだ」と指摘している。

 国家が過剰に株式相場に介入(PKO)すればどうなるか?それはもう日経平均株価で答えが出ている。<値幅調整>を止めたことにより、<日柄調整>の相場がえんえんと続くのである。

日経平均の月足と波動カウント

出所:石原順