昨日のFOMCで「FRBは株を見て金融政策をやっている」ことが見え見えとなり、ポリシーのなさが露呈してしまった。パウエルFRBは信任の低下から、今後は利下げ催促相場と向き合わなくてはならなくなった。

 米国の利上げ停止はドル安につながりインフレになってしまう可能性がある。現在の中央銀行バブルの終わりはインフレだ。トランプの異常な財政刺激と貿易戦争の影響でインフレ(スタグフレーション)になる可能性は否定できない。インフレになったら、FRBは利下げもQE4(第4弾量的緩和)もできない。

「赤字拡大と金利上昇とドル安の組み合わせは危険なカクテルで1987年のブラックマンデー環境をほうふつさせる」と新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックはかねてより述べている。現在、米国では<赤字拡大>と<金利上昇>局面が継続しており、これに<ドル安>が加わるとインフレ圧力がかかって、<ブラックマンデー2.0>の環境が出来上がる。

 米国株は年金PKOをきっかけに上昇が続いているが、この上昇はあくまで急落の後の自律反発相場に過ぎない。ファンダメンタル的には米中の貿易戦争のことも英国のブレグジットのことも3月にならないと答えは出てこない。現在は執行猶予期間中の楽観相場なのだ。

 近年の株は7年から10年に一度暴落するという循環を繰り返していることだ。米国株も上げの10年目。そう遠くない将来に株式市場の暴落や長期的な買い場が到来するだろう。株は暴落した時に買う長期運用の商品である。

 

ここからのドル/円相場見通し

 利上げ棚上げとバランスシートの縮小を修正する用意があるというFOMCの声明文を受けて、ドル/円は108円台に下落、ユーロ/ドルが1.15台に上昇するなどドルは全面安の展開となっている。

 短期売買の順張りシグナルも逆張りシグナルもドル/円はドル売りシグナルが点灯している。

ドル/円(日足)レンジブレイクの短期売買順張りシグナル

買いシグナル(緑の↑)・売りシグナル(赤の↓) 買いポジションの損切りライン(赤)・売りポジションの損切りライン(青)・トレーリングストップライン(緑)
出所:石原順

ドル/円(日足) ストキャスティクスの逆張りシグナル

出所:楽天MT4・石原順インジケーター

 

 株高とドル全面安の影響でクロス円がしっかりしており、ドル/円の円高相場に迫力は感じられない。ここからは日足ベースでドル/円の売りトレンドが発生するかどうかを見極めたい。

ドル/円(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

出所:楽天MT4・石原順インジケーター