ドル/円相場のトレンド分析

 現在、ドル/円の日足は14日のADXと26日の標準偏差ボラティリティがともにピークアウトしており、典型的な<ランダム相場>であり、<調整局面>である。順張り派の投資家にとっては、調整局面ではすることがない。取引に何らの優位性もないからである。

ドル/円(日足)標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:ADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:楽天MT4・石原順インジケーター

 

 筆者の独断と偏見でいえば、トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。

 相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクしたときだ。

 一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横ばいレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

 相場でチャンスになりやすいのは、標準偏差ボラティリティやADXが低い位置から上がっていく局面で、これを相場用語では「保ち合い放れ」・「レンジ・ブレイク」・「ボラティリティ・ブレイクアウト」などと呼んでいる。

 

エリオット波動の波動カウント

 ドル/円の昨年9月からの波動カウントを見てみよう。フラッシュクラッシュで大底を付けて、このあと円安が進んで行きそうに感じやすい…。しかし、筆者の波動カウントでは、昨年の9月から10月に始まった円高波動は、今、戻りの(4)をやっていて、そのあとは昨秋から始まった円高波動の最後の(5)の波が残っているように思える。筆者が円相場は戻り売りだと言っているのは、それが一つの要因である。

ドル/円(日足)昨年9月からの波動カウントと移動平均リボン(1~3カ月の市場参加者のコスト)

 円相場は下げがもう1波残っているように見える…

出所:石原順