ドル/円の逆張りシグナル

 以下のチャートは昨年11月3日に大阪で開催された「投資戦略フェア2018大阪」の楽天証券提供の講演で参加者に配布した楽天MT4版“逆張り取引のサンプルモデル”である。この逆張り売買モデルをみると、昨日1月23日に売りシグナルが点灯している。

ドル/円(日足)逆張りシグナル

上段:逆張り売買シグナル・ボリンジャーバンド(20)±2シグマ
下段:ストキャスティクス5.3.3・ADX(14)
出所:楽天MT4・石原順インジケーター

 

 逆張りは相場に逆らってポジションをとる売買手法であり、ストップロスを置かないと大きな損失を被る可能性がある。それらに十分留意したうえで、使っていただきたい。逆張り取引は、あらかじめストップ注文を置いておくか、最悪でも「間違ったと思ったら直ちに損切りすること」が重要である。

 どのリスクポイントで自分は撤退するのかを把握しておかなければならないが、この問題を解決するために、筆者は相場のチャートにストップロスラインとトレーリングストップラインを2本引いている。これでとりあえず相場から撤退するポイントは把握できる。

ドル/円(日足)ストップロスラインとトレーリングストップロスライン

出所:石原順

 

日米貿易戦争の行方

 市場参加者は米中貿易戦争に目を奪われているが、米中貿易戦争より、日米貿易戦争(自動車と畜産農業品のバータ)のほうがドル/円相場にとっては深刻な問題であろう。

 日米の貿易交渉が1月下旬から始まる見通しだったが、米政府機関の一部閉鎖で米国内の手続きが遅れているため、交渉開始は今春以降になるとの観測も出ている。日米の貿易交渉の後ずれで、円高を狙っていた投機筋もちょっと思案しているようだ。日本がTAG(米物品貿易協定)と呼び、米国がUSJTA(米日貿易協定)と呼ぶ貿易交渉は、うまくいくはずがない。

 日本の貿易黒字のほとんどが自動車であり、現在の日米貿易戦争は80年代をなぞるような動きだが、その結末は保護主義的な車の輸入数量規制に行き着く。しかし、それで日米の貿易不均衡が解消するわけもなく、最後はドルの切り下げ(円高)で調整するというのが米国の常とう手段である。日本発の貿易摩擦という円高材料を市場はほとんど織り込んでいないのではないだろうか?

ドル/円(月足)と60カ月エンベロープ(60カ月移動平均線かい離率)

 為替の歴史は政治の歴史。為替相場は米国の都合で動いてきた…

 出所:石原順