[平成30年(2018年)11月時点]ITバブル以来の株式ファンド人気

 直近の純資産上位10本は上表の通りだ。依然として海外REITファンドに人気があるように見えるが、ピーク時の残高から半減していることが分かるだろう。毎月分配型投信の残高は、ピーク時で投信全体の残高の7割を超えていたが、2018年に入り、4割を割り込んだ。毎月分配投信が日本で誕生して約21年、ついに投資家が毎月分配型投信から卒業するときが来たと思いたい。

 一方、上表からは傾向がつかみづらいが、今年最も資金が流入した投資先は株式に投資するファンドだ。純流入額で見ると上位10本すべてが株式ファンドであり、こうした状況はITバブル以来の出来事といえる。

 なお、今年最も資金が流出している投資先は、前述の海外REITに投資するファンドなのだが、今年最も良いパフォーマンスをあげている投資先が皮肉なことにREITだということを最後に書き添えておく。

 

 平成の投資信託を振り返ってきたが、皆さんは何を思っただろうか。人気投信の栄枯盛衰を見ると、いろいろと学ぶことがある。超大型ファンドが誕生したときが相場の大天井であったこと。分散投資は闇雲に分散すれば良いわけではなく、自分の許容できる値動きにおさまる組合せが大事であること。市場を予測してもなかなかうまくはいかないこと(為替市場は特に)。高分配を求めても市場の後追いになり、元本を大きく取り崩す可能性があること…。是非、来年以降の投資戦略に生かしてもらいたい。

 一つ心配しているのは、「投資信託は結局もうからないのか」と思ってしまった方がいるのではないかということ。それは大きな誤解だ。投資信託は、余程おかしなファンドでないかぎり、長く持っていればおのずと結果が出てくるものと筆者は考えている。

 一つ勇気が湧く話として、過去10年間の実績がある投信は現在1,700本程度あるが、その中で10年間のトータルリターンがマイナスのものは20本程度しかない。これはかなりの確率といえるのではないだろうか。逆に、この10年投信で運用していて、損をしているという方がいれば、それは投資のやり方、商品の選び方に何か問題があったのかもしれない。これを機会に今までの運用を振り返ってみると良いだろう。

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